『仮面ライダー×仮面ライダー W & ディケイド MOVIE大戦2010』

第一感想

 ようやく感想。
 本当は去年、公開当日に見に行ったのだが、遅れに遅れて感想を書けなかったのが今さらなのだが……。
 まあ、『W』のOPを見てれば、大体のストーリーは分かってしまうのだけれども(笑)。
 以下ネタバレ感想。

第一部『仮面ライダーディケイド 完結編』

 TV本編のライダー大戦後の物語となる。だが、最終話の予告の映像が一話たりとも使われていない。何その嘘予告(笑)。しかも、『オールライダー対大ショッカー』の話と明らかな矛盾が……。
 まあ、そこはあれだ。多分、アマゾンの世界辺りで世界分岐だか改変だかが起こったとか、そんなオチを各々脳内で補完する、と言う事で(笑)。

門矢士/仮面ライダーディケイド(激情態)/真・コンプリートフォーム(仮)

「世界の破壊者」と言う自らの運命を受け入れた士。
 カメンライドをすっとばし、ライダーの武器や能力を直接使う事のできる激情態へと変化し、次々とライダーを撃破していく姿は、まさに世界の破壊者。

士「俺はすでに究極を超越している!」

との事だが、クウガ アルティメットフォームとの戦力差が圧倒的なところがちょっと可愛いw
 その後、各リ・イマジネーションライダー達により復活を果たした後は、各ライダーの最新最強フォームを更新した、真・コンプリートフォームへと変身。各世界の最新最強フォームを召喚するその姿は、すべての世界を破壊し、また繋ぐ役割を持つディケイドの名にふさわしいライダーとなっている。

海東大樹/仮面ライダーディエンド

 夏映画同様、夏海のお守、兼解説役。
 TV本編『ディケイド』の物語を強制的に終わらせたディエンドだが、その後はすっかり丸くなり、ディケイドの援護へ。
 大樹本人も、戦いの後隠居、あるいは引退したかのような枯れ具合を見せた。

小野寺ユウスケ/仮面ライダークウガ

 最終話以降、昭和ライダーも含めたディケイド討伐隊のリーダーになっているかのようなユウスケ。
 それでも、Jの転倒に巻き込まれて負傷するとか、そういう抜けた所がいかにもユウスケらしい(笑)。
 アルティメットフォーム(ダークアイズ)に変身し、その後自由意思でアルティメットゴウラムにFFRした所が、個人的には一番輝いていた所だと思う。相変わらず、ライジングアルティメットは微妙な活躍だった……。

光夏海/キバーラ/仮面ライダーキバーラ

 TV本編最終話後、写真館で栄次郎と過ごしたらしい夏海。
 彼女はキバーラに力を与えられ、仮面ライダーキバーラとしてディケイドにとどめをさし、世界を救う役目を担った。
 夏海の力とはそれであったようだが、詳しい事は不明。結局、キバーラの目的も不明のままだった。あの、ユウスケをアルティメットフォームに変えた小悪魔なキバーラは一体……?
 それはともかく、彼女の最大の役目は、ディケイドを倒す事であったのには間違いが無いらしい。つまり、こういう事か。
受け継がれる志と力なんて、『キバ』でやってんだよ! 平成ライダーは『キバ』までで十分! 『ディケイド』なんていらねーんだよ!」
と言う(ヲイコラ)。
 スーツのデザインなんかが素敵なだけに、なんだか中途半端な感じ。まあ、久しぶりに笑いのツボが登場しただけで、よしとしよう(笑)。

岬ユリコ/電波人間タックル

 劇中における、士の未来の姿。あるいは、本当の仮面ライダー
 ライダー達がディケイドとのライダーバトルにうつつを抜かしている間、一人、蜂女と死闘を繰り広げていた。まさに真の仮面ライダーと呼ぶにふさわしい。
 士が保護していた形を取っていたが、本当は、彼女を守る事で士自身が救われたかった。そんなシンボルとしてのキャラクターだったと思う。

スーパーショッカー

 21世紀版ゲルショッカー。もう、それ以外言いようがないw
 しかし、大ショッカーが滅びたとか滅びなかったとか、だから夏の劇場版とTV本編がどうつながるのかと小一時間問い詰めたい

スーパー死神博士

 再び栄次郎が変身し(?)、パワーアップを果たしたスーパー死神博士
 もう、スーパー付けときゃそれでいいのか。ちなみにどこがスーパーになったのかと言うと、蜂女と言う愛人とネオ生命体と言う子どもを手に入れた所がスーパーとなっております(笑)。

鳴滝/ゾル大佐

 ダメなオールドライダーファン、その象徴として登場した鳴滝。
 結局、彼の正体はそれにつきて、彼が何を企もうが、ゾル大佐になろうが、それはどうでもいいと言ったキャラクターだった。
 ディケイドなんて言語道断! こんな邪道ライダーは滅びるべきなのだ! それが彼の行動原理。
 そのダメっぷりは、むしろ超スピンオフで存分に明らかにw

蜂女

 悪の組織・紅一点枠。スーパー死神博士の愛人ぶりとか、タックルとの戦いぶりとか、見事な悪女っぷりだった。
 最後の最後で、ネオ生命体に喰われてしまったオチだけが悲惨だ……。

ネオ生命体

 最後の最後で敵になるのは、ディケイドでもなく、悪の組織でもなく、子どもだった。
 スタッフさんは、この一〇年でどれほど子どもにトラウマを植えつけられたのだろう
 そうしみじみと考えざるを得ない敵のセレクトだった。スーパークライス要塞からマンモスメカまで、大ショッカーから続くテクノロジーはいいようにコイツに使われっぱなしだった。

ライダーバトル

 ストーリーとしてどうにも成立していない劇場版『ディケイド完結編』だが、ライダーバトルはやはり迫力満点。見応え充分だった。

  • スカイライダーをFARのカードで追尾するディケイド! クロックアップでスーパー1とカブトを圧倒!
  • ライオトルーパーを蹴散らし、ジャンボフォーメーションのJをギガント→サイドバッシャーのミサイルのコンボで粉砕!
  • FFRでブレイドを強制変化! 残ったブレイドを放り投げてFAR!
  • 究極を超えていてもやっぱり敗北! クウガ・アルティメットフォームに性格の悪さで対処! 等等。

 いかにも男の子な感想でアレだが、やはりディケイドは戦っている時が一番かっこいい気がする。

ディケイドの物語

 いつぞやの渡が現れ、告げる衝撃的な事実。

渡「ディケイドに、物語はありません」

 ディケイドの存在意義とは、すべてを破壊した後、滅びる事。
 とどのつまり、平成と昭和のライダーを集め、宣伝するための広告塔でしかない。役目を果たしたなら、とっとと消えろ。ディケイドとは、そういう存在であったと、何と公式で宣言してしまった。
 それはちょっと衝撃的過ぎると言うか、もはやシナリオが自棄になっているとしか思えない発言である。
 もはやメタフィクションだとか何だとか言うレベルを超えたとんでもない作品である。
 原作版『BLACK』の「教えてくれ。 俺は、誰だ?」にも似た、やるせない……と言うか、もう「えー……」と呆れるしかない物言いだった。

復活

 公式に、ディケイドに物語は無いとアナウンスされた。しかし、士の旅は、確実に各世界のライダーに何かを残した。
 ワタル、シンジ、カズマ、ショウイチ、ソウジ、アスム、そしてユリコ、ユウスケ、大樹、夏海……。
 各世界の人々の思いが士を思い起こした時、そこに再び士が現れた。そう、かつて原作者が語ったように、時代が望めば、そこに仮面ライダーは現れるのだ!
 士が撮り続けていた写真が、最後に復活の鍵となるとは心憎い。
 後、タクミがいなかったのは……。えっと、由里といちゃいちゃしていて、士の事を思い出さなかった、と言う事にしておこう(笑)。

第二部『仮面ライダーW ビギンズナイト』

仮面ライダーW』第1話以前、フィリップ救出から脱出までを描いた始まりの夜=ビギンズナイト。
 単にビギンズナイトだけを描くのではなく、その出来事が現在の翔太郎とフィリップにどんな影響を与えたのか? と言う点で、意義深いものになっている。

全員参加のクリスマス

 鳴海探偵事務所に、ウォッチャマン、サンタちゃん、クイーン、エリザベスと言った風都イレギュラーズ勢揃い!
 一人一人でも十分「濃い」メンツなだけに、それが全員そろうとまた凄い。画面が一機に賑やかになった。
 ウォッチャマン達はともかく、クイーンやエリザベスはクリスマス予定がありそうだけどなー? 等と思っていたら、どうもエリザベスがフィリップ狙いだかららしい(笑)。

おやっさん/仮面ライダースカル

『ビギンズナイト』における実質上の主役。おやっさんが、変身前も変身後もかっこよすぎる……ッッ!
 翔太郎のハーボイルドの師匠だけあり、まさにハードボイルドを地でいく渋いダンディ。
 翔太郎が半ズボンだったり、帽子を禁じられていて、半熟以前に「半人前」であるのもあって、おやっさんのダンディが際立つ。

残された謎

 劇場版の『ビギンズナイト』であるが、多くの謎が残された。
 ガイアドライバーの謎はもちろん、最大の謎は、おやっさんのフィリップ救出を依頼した依頼人の存在だろう。
 自分はずっとおやっさんが個人的にミュージアムと戦ってきたのだとばかり思っていたが、探偵なんだから、そりゃ依頼人がいても当然だった。
 おそらくこの依頼人が、おやっさんにロストドライバーやメモリを与え、フィリップ救出を依頼したのだろう。探偵事務所のリボルギャリーのガレージも、この依頼人が用意したものだと考えるのが自然だろう。
 ファングメモリの存在もあるし、この依頼人の存在が、ストーリーの大きな鍵となりそうだ。

贖いの戦士達

 このビギンズナイトは、翔太郎とフィリップ、それぞれの心に大きな傷を残した事件だった。
 翔太郎は、おやっさんの言う事を聞かなかったせいでフィリップを確保し損ね、それがもとでおやっさんが死ぬ原因を作ってしまった。
 一方のフィリップも、より効果の高いガイアメモリを作り出す事のみに執心し、自分で何一つ決断する事が無かった。いわんや、自分が作ったメモリで他人が悲しんでも、どうでもいいとすら考えていた。
 翔太郎は、おやっさんから事務所を受け継ぎ、フィリップはおやっさんから「フィリップ」と言う名前をもらい、一人の人間として決断しながら生きていく事を決めた。
 二人が、「二人で一人の仮面ライダー、ダブル」として戦う事は、かつてのおやっさんに対する贖いの道であったのだ。
 こういう確固たる物語が『W』の物語を支える骨子となっているのは、「物語が無い事が物語」である『ディケイド』とは対照的だ。

デス・ドーパント/ダミー・ドーパント

 死者を自在に蘇らせる脅威のドーパント。……かと思ったら、その正体は、物体をコピーする能力を持つダミー・ドーパントだった。
 なんだそれ(笑)。と思っていたが、よくよく考えると、スカルとかデス・ドーパントだとかに、かなり高い精度で化けているのだ。
 確かに使いようによっては強力で、ミュージアムサイドが協力するのも分かるメモリだった。

第三部『MOVIE大戦2010』

 ネオ生命体と死闘を繰り広げるディケイドとライダー軍団。そしてダミー・ドーパントを追うダブル。
 ディケイドとダブル。二人のライダーが自身の存在を強く叫んだその時、V3並みの爆発ジャンプと共に二人のライダーが並走する!
 って、ディケイドがいた世界ってダブルの世界だったんかい(笑)。

邂逅のライダー達

 出会ったディケイドとダブル。この二人(三人?)やはり一度夏の映画で会った事があるらしい。……よし、思考停止(ぇ)!

強奪! マンモスメカ

 ネオ生命体が放ったマンモスメカを、ダブルが強奪! ハードボイルダーの換装システムを利用してコントロールを奪還し、ハードマンモシャーとして新生!
 ヒート・マキシマムドライブを使って全身を深紅に染め、敵戦艦に突撃!……って、それ使い捨てなのー(笑)!? せっかく名前があるのにもったいない。

FFR祭り

 平成ライダーとディエンドの、ちょっとくすぐったいぞ→痛みは一瞬だの連続コンボに、劇場で笑いをこらえるのに必死でした。
 ちょwwwwあんたら何やってんのwwwww
 おまけにダブルもFFR! ダブルを真っ二つに割り、サイクロンサイクロン、ジョーカージョーカーに! ダブルの存在意義、消滅の瞬間であった。おのれディケイド! お前のせいでダブルの世界まで破壊されてしまった(笑)!

救い

 すべての戦いが終わった後、翔太郎とフィリップの目の前に現れたのは何とスカル! 顔だけ変身解除したその姿は、何とおやっさん!?
 別の世界のおやっさん(ソウキチ?)に、「帽子がサマになってる」と褒められた翔太郎。それは翔太郎が知るおやっさんでは無いのだが、しかし、贖いのため戦ってきた翔太郎の、小さいとは言え救いとなったに違いない。彼の進む贖いの道が、決して間違っていない事を教えてくれたのだから。
 しかし、別世界のおやっさんは、ハードボイルダーに乗り、次元をかけるハードボイルド探偵になってるのねー(笑)。

本当の死神

 栄次郎をスーパー死神博士に変えた本当の原因。それは、何と園咲パパが渡した「死神博士メモリ」だった!
 また、ディケイド以上にメタフィクションネタに持ち込めそうなメモリを(笑)。
 デス・ドーパントはあくまでオトリ。本当の死神は、こっちだったのか。

続く物語

 すべての世界を壊し、つなぎ、そして再生したディケイド。その役目は終わっても、まだまだ旅は終わらない。
 新たな背景は、終わりなき一本道。
 再び、ディケイドの旅が始まっていく。

総括

『ディケイド』は、劇場版でやっていい話じゃなかった。
『W』は、TV本編でやるべき話だった。
 正直、劇場版でやる意味が全くない二作品だったと思う。でも一つだけ意義があるとすれば、それはやっぱり「お祭り」なのだろう。
『ディケイド』では、本編ではできないようなクオリティのCGや火薬量。登場ライダーで画面を賑わせる。『W』サイドでは、おやっさんの登場。彼の活躍は、確かにスクリーンで観た方が際立つのだろう。
『ディケイド』の最後のお祭り騒ぎに、『W』が便乗した感じの劇場版だった。
 正直、『ディケイド』は「俺達の旅はこれからも続く!」でしか終われない物語なのだから別にこれでいいのだろうし、『W』はこれからも物語は続き、その終わりはまだ見えない。
 だが、『ディケイド』に関しては、まだまだ物語は終わらない。確実に発売されるだろう、『DC版 オールライダー対大ショッカー』! そして『完結編』!!!
 まだまだ続く物語に対し、楽しみにそれを待ち構えていよう。