第10話「化猫 序の幕」

 地下鉄の開通式で賑わう構内。招待客を乗せた第一号列車が出発する。しかしその途中、七名の男女を残して乗客は消失し、車両に閉じ込められてしまう。
 そこに現れた薬売りは、それをモノノ怪の仕業であると告げる……。




 これまで時代劇、主に江戸時代を思わせる時代設定から昭和を意識した時代に舞台を移し、『怪〜ayakashi〜』でも描かれた化猫が新たに描き出される。
 余談ながら、日本初の地下鉄は昭和二年(一九二七年)一二月三〇日に開通した浅草〜上野間とのこと。今回もそれくらいの時代と勝手に認定。
 以下感想。



 洋装和装入り混じる中で、主要キャラクター七人以外のキャラクターはすべて服を着たマネキンで描かれるという大胆な構図。これによって主要キャラクターが一目で判別でき、同時に作品内で描かれてきた特異な画面が褪せずに展開されていきます。
 しかし、それにつけても薬売りの目立つ事目立つ事。この男だけは、どの時代でもこの格好でいて、奇異の目で見られるんだと不思議と確信されます。当然「派手なチンドン屋」とまで評されるが、薬売りだけは何処吹く風。
「今日びこうでもしないと薬も売れない」とさらりと流すあたりは流石としか言いようが無い。




 今回のエピソードは、かつての「化猫」のように異世界に取り込まれた車両と言う密室で展開していく。
 登場する七人のキャラクターは、新聞記者・森谷清。市長・福田寿太郎。刑事・門脇栄。電車の運転手・木下文平。女給・野本チヨ。未亡人・山口ハル。牛乳配達をしている少年・小林正男。この七人。
 前作『怪 〜ayakashi〜』「化猫」のキャラクターそのもののキャラデザで、その関連をうかがわせる。あぁ、でも小田島がいない……(苦笑)。
 彼ら七人の内、市長は列車から出ようとして早々と死亡。残された六人は薬売りの言葉に従ってそれぞれの共通点を探す事に。彼らの内、共通点は「ある職業婦人が橋から飛び降り、列車に轢かれた事件」にそれぞれ関わっていたと言う事。だがまだ、真実には至らない。
 明らかになった「形」――モノノ怪・化猫は、彼らを集めて何をしようというのか。まだまだ謎は深まっていく。




 今回の白眉は、何と言ってもハート泥棒・薬売り(笑)。前作の「化猫」の一部キャラクターがまるで生まれ変わりのように登場している今回の「化猫」でも、チヨの心を一発で奪っていくwww 
 おまけに未亡人までもと言う辺り、薬売りはつくづく業深い……(苦笑)。