第2話「座敷童子 後編」

 部屋に怪異を為すモノノ怪の「形」は座敷童子であった。薬売りは退魔の剣を抜くために必要な「真」と「理」を女将らから得ようとする。果たして、座敷童子を為した「真」と「理」とは……。




「座敷童子」後編感想。
 前作「化猫」同様、見ている人間の心をえぐってくるような過去と、わずかな未来への救いの対比が強烈に脳をえぐってきます。
 以下感想。



 薬売りと志乃が泊まった宿は昔、女郎屋だった。借金のカタに連れてこられた女郎達が妊娠してしまうと仕事が出来ない。そのため、子ども達を堕胎させ、その死体は燃やしていた。
 それらを表現するシーンが心をえぐる。お腹に若い女将が拳を叩きつける、燃やされる子どもの泣き声……。生きていくためにはしょうがないと、生まれる事無く殺されていく子ども達。
 始末された子どもの思いが「真」。
 志乃が通された部屋は、それらの子どもを供養するためのものだった。しかしそんなもので子どもが成仏するわけも無く、女将自身も何かを悔いている訳でもない。
 座敷童子達はお腹の中の子どもを優しく撫で、話しかける姿から彼女を自分の母親に選ぶ。座敷童子達は、新たに生まれ直したかった。それが「理」。




 当然相容れぬと斬ろうとする薬売り。しかし志乃はお腹に入れば自分の子どもと、志乃とつながる赤い布(へその緒の隠喩か)を逆に辿り、志乃の腹に戻ろうとする座敷童子を受け入れようとする。
 生まれたかっただけの子ども達。座敷童子達を受け入れ、自分の子どもとして産むと決める志乃。その姿は、母親と言う生き物の強さと言うものをまざまざと見せつけられます。
 しかし、やはりとり殺されそうになる志乃を、黄色い色をした座敷童子が助ける。
「苦しい思いをさせてこめんなさい」「優しい言葉をかけてくれてありがとう」赤ん坊側からの視点での、母親への言葉。互いに互いが思いあう心。
 子どもは「あなたがいい」と母親の下へ。母親は「どういたしまして。選んで来てくれてありがとう」と子どもを受け入れる。言葉にすると陳腐ながら、描かれたのは母子の絆、生まれてくる命の大切さ。
 と同時に、子どもを堕胎させざるを得ない、子どもは何もしてない。そんな厳しい現実も。現実は辛いが、しかし「早く逢いたい」と言う気持ちが尊いものであると言う事は確か。




 今回の薬売りは志乃のモノノ怪であっても自分の子なら産んで見せる、と言う覚悟に驚いたように描かれました。退魔の剣を抜くシーンが無く、唐突にハイパー化したのも、そんな彼女のために斬るシーンを見せたくなかったのかも知れません。  
 基本的には、優しい男――のはず。