『キサラギ』
- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 2008/01/09
- メディア: DVD
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きっかけはTVCM。五人の男優(小栗旬、ユースケ・サンタマリア、小出恵介、塚地武雅、香川照之)がアイドルヲタみたいな事をしている事と、若本規夫氏がナレーションをやっていた事(笑)。
あの粘っこい声で言われたら、もう見るしかないでしょう!
一年前に焼身自殺したアイドル・如月ミキの一周忌に集まった五人の男達。
彼らは如月ミキのファンであり、それぞれファンサイトを通じて知り合った。今回の一周忌も、ファン同士で彼女について語り合おうと言う趣旨だった。
名前も経歴も知らない五人が集まって、集まりは賑わいを見せる。しかし、ある一言で事態は一変する。
「如月ミキは本当に自殺したのか?」
「本当は誰かに殺されたのではないのか?」
ビルの一室の中で、それぞれが真実について語り始める……。
ストーリーはこちら。
ビルの一室で、アイドルの自殺についての疑惑をひもといていく密室推理ドラマであるのに関わらず、キャラクターがどたばたやって、そんな姿が滑稽で笑えて笑えて、ついでに泣けて。その上でしっかり推理モノになっている、実にいい作品。
素直に「これ面白いよ!」とオススメできる一本です。
以下ネタバレ感想。
登場するメインキャラクターは、それぞれ互いのハンドルネームしか知らない五人の男達。
如月ミキ一番のファンを自称し、レアアイテムを集めている家元(小栗旬)。
別に「(元ネタに)憧れているわけじゃない!」と言うオダ・ユージ(ユースケ・サンタリア)。
他人の意見に便乗するだけのスネーク(小出恵介)。
話に参加できていない安男(塚地武雅)。
実はおっさんでした♪ ネカマのいちご娘。(香川照之)。
そして、アイドル・如月ミキ。
一年前、焼身自殺した彼女。しかし何故? どうして? その真相を知るため、それぞれが知る真相を話し、パズルのように繋ぎ合わせ、真実を明らかにしていく男達。
そこで明らかになっていくのは、「アイドル」如月ミキとのそれぞれの距離感の違い。
「一般的にデビューとされているグラビア雑誌より早く、彼女が雑誌でデビューしていたのを知ってますか?」なんて自慢している家元。分かり易く言うと、あれです。
「林原めぐみのデビューは『めぞん一刻』の幼稚園児役で、初セリフは「何だあの犬!?」なんだぜ?」とか言っている感じでしょうか。いや、もっと分からない(笑)。
とにかく、そんな感じで一番のファンを気取っている家元の前に、もっと距離をつめている連中が出てくる事出てくる事。
マネージャー、友人、幼馴染、そして父親。唯一、身内じゃないのは家元だけ。しかしその家元が送った手紙が、如月ミキが死んだ理由にもなっていて……。
結局、犯人なんていなかった。すべては不幸な事故だった。しかし、実際のところ、それを確かめる術は無い。今となっては、如月ミキが何を考え、どう行動したかなんて誰にも分からない。
如月ミキは、死んでもなお、誰にとっても虚像であり、本当のアイドルだったのだ。
身内にしか分からない相手。身内だからこその心の距離。他人だからこそ分かる相手の事実。身内じゃないから届く想い。遠くの人を愛する、応援する男達の悲哀と勇気と涙で織り成す小さな奇蹟。
そういう事を、男五人の賑やかな演技で最後までノンストップで「魅せてくれる」作品でした。