『魔弾戦記リュウケンドー』第51話「黒い月夜のクリスマス」

 大魔王グレンゴーストも倒され、ジャマンガもいなくなった。クリスマスと合わせて、あけぼの商店街も半額セールと一転お祭ムード。
 しかし、ブラッディが倒された事で、密やかにジャークムーンがメカニムーンの呪縛から復活し、リュウケンドーとの決闘を求めてくる。


「ラスボスが大魔王なんて誰が決めた! 途中退場したライバルでもいいじゃないか!」それがオッケーなのが『リュウケンドー』クオリティ。以前の小町さんの話での伏線を見事に回収し、鈴の兄とも絡めてくるストーリーの組み立て方が流石。
 

 悔いを残したくない。
 例え怪我をしていたとしても、自分の将来が危ういとしても、自分の信じた道のために戦うのならば構わない。
 剣二のためにジャークムーン復活を伏せる天地指令や不動さん達。
 ジャークムーンに対しては、シリーズ一貫して「ただの魔物」として対応し、剣二の過度な思い入れを危惧してきました。 
 結構忘れがちなんですが、「求道者」として剣二に接してくるのはジャークムーンだけでした。
 それに共鳴するように感応する剣二の姿を見ていると、剣二はヒーローである前に一人の剣士なんだな、と思います。
 天地指令や不動さんは、「命をかけても守る価値のある町のため」「冷静に戦う戦士」としてのヒーローなので。
 

 ここら辺の温度差みたいなものは、剣二が古くから続く剣術の継承者と言う歴史的な重みが関係しているんでしょうか。
 個人の意思に関係無く、ただただ続いていく「剣の道」。人も魔も、種族の差を超えて、剣二とジャークムーンは志を同じくする同士だったのかも知れません。


 世間は、プレゼントを交換し合うクリスマス。
 ジャークムーンは剣二がもたらした自分の敗北と消滅を、「自らの定めからの解放」と言うプレゼントとして受け取りました。
 それまで一貫して「リュウケンドー」だった呼び方が、ラストで「鳴神」に変化したところで泣けた。
 

「今度」があるなら、今度は……? 最後まで言わせなかったセリフが、剣二を待ち続ける鈴の姿と相まってさらに泣ける。
 前回の大魔王との派手な決戦とはうって変わって、静かに染み入る余韻が素敵でした。


 次回はいよいよ最終回!