漫画 ときた洸一 シナリオ 千葉智宏『機動戦士ガンダム00F(1)』

機動戦士ガンダム00F 001 (角川コミックス・エース 97-13)

機動戦士ガンダム00F 001 (角川コミックス・エース 97-13)

 ガンダムエースホビージャパン、電撃HOBBY三誌で連載されている『機動戦士ガンダム00』公式外伝の内、アニメ本編とのリンクが最も強いガンダムエース連載作品『機動戦士ガンダム00F』の第一巻が発売。
 公式外伝は『SEED』『SEED DETINY』の頃にも『ASTRAY』が連載されていたが(現在も絶賛連載継続中!)、外伝の内容が本編にあまり反映されていなかったのとは違い、本編に密接にリンクしているのが本作の特徴。
 以下ネタバレ感想。

ストーリー

 ソレスタルビーイングが戦争行為根絶を掲げ、全戦争行為への武力介入をスタートしたと同時期に活動を開始した、サポート組織フェレシュテ側から『ガンダム00』世界を描く。
 フェレシュテ側はソレスタルビーイング・トレミーチームの動きを知っていても、トレミー側は彼らの動きを一切知らないのも本作の特徴の一つ。
 フェレシュテは#01アバンで刹那を助けた第一世代ガンダム・Oガンダムから派生した第三世代ガンダムエクシア、デュナメス、キュリオス、ヴァーチェ(ナドレ)のプロトタイプとなった第二世代ガンダム・アストレア、サダルスード、アブルホール、プルトーネを戦闘用(タイプF)に改装(プルトーネのみタイプFではない)し運用する。
 しかし太陽炉はOガンダムの持つ一機のみなので、これを使いまわして運用している。よって一度のミッションに一機のガンダムしか出撃できないと言う制約を持つ。

キャラクター

フォン・スパーク

 本作の主人公(?)。
 元重犯罪者のガンダムマイスターであり、爆弾付きの首輪・手錠で行動を制限されている。ソレスタルビーイングの理念にはまったく共感しないが、「ガンダムの力で世界を変える」事にだけは共感している。また「自分の力で世界を変える」事にこだわっているので、王留美は嫌い(笑)。妙にロックオンと縁がある。
 高圧的に女性キャラに迫り、結果的にそのハートをゲットするハート泥棒(ぇ)でもある。笑い方は「あぎゃ!」。 
 本編とのリンクは、その経歴から、サーシェスと顔見知りである事。

シャル・アクスティカ

 本作のヒロイン(多分)。
 ガンダム開発に関わっていて、初期のガンダムマイスター
 プルトーネの事故により大怪我を負い、そのせいで髪の色が変わり、左目を失っている。
 本編とのリンクは、フェルトの母親候補である事。

シェリリン・ハイド

 メカニック。
 ハナヨの友達。本編とのリンクは、アニメのメカニック・イワンのおやっさんの弟子である事。

ハナヨ

 外伝におけるハロ。猫型。
 しかしその中身は、ガンダムマイスター874と言う独立した人格である。彼女の存在そのものが本編とのリンクである。彼女は「ヴェーダ直にリンクできる存在」。そして彼女には「自分が何者かも知らずに世界に溶け込んだ姉弟」がいる。それはすなわち、ティエリアやネーナそしてリボンズと同じ存在である事が判る。

エコ・カローレ

 特になし(笑)。
 ガンダムマイスター候補生だったが、あらゆる面で刹那達に劣っていたためにガンダムマイスターになれなかった男。
オレがガンダムに一番うまく乗れるんだ……
 と、どこぞのアムロみたいな事と言う男。おっさん。

ガンダム

ガンダムアストレア

 エクシアのプロトタイプとなる機体。機体は擬装のためイナクト、フラッグなどと同様のマスクを装着している。

ガンダムサダルスード

 デュナメスのプロトタイプとなる機体。

ガンダムアブルホール

 キュリオスのプロトタイプとなる機体。しかし見た目はガンダムと言うよりはマクロス系。

ガンダムプルトーネ

 ナドレのプロトタイプとなる機体。過去この機体のテスト中に起きたの事故によりシャルの仲間が死亡したなど、因縁深い機体となっている(フェルトの両親が死亡した事故の模様)。
 太陽炉を安全に脱出させる装置(コアファイター)、トライアルシステム、GNコンデンサーなど、後のヴァーチェ/ナドレに見られるシステムの片鱗を見る事が出来る。

各エピソード

#F01「もう一人のガンダムマイスター

 アニメ本編#01「ソレスタルビーイング」の裏側を描いたエピソード。
 このエピソードは、明らかに常軌を逸した個性と、それに反比例した驚異的な洞察力を持つフォン・スパークと言うガンダムマイスター一人を際立たせるためのエピソード。
あぎゃぎゃぎゃ」と笑いながらプルトーネで出撃するフォンにぽかんとする事しきり。こういう風に、最初はまったくキャラクターに感情移入できないという点では、アニメ本編と同様である。

#F02「GN-002VSGNY-OO2F」

 GN-002=デュナメス。GNY-OO2F=サダルスードタイプF。プロトタイプと完成機の共同作戦。しかし、フォンがロックオンを知っているのに対し、ロックオンは相手の存在を全く知らないのはご愛嬌。
 ロックオンのハロのレーダーでも捉えきれない敵を、索敵能力に優れたサダルスードが敵の位置を調べ、それをハナヨがヴェーダを通じてロックオンのハロへと送信する。こんな風に、トレミーチームガンダムマイスターをサポートしていたのか? と妄想させるエピソードだ。
 しかしこの時の、ロックオンに対するフォンの物言いが酷い。

オレ様にお前のすべてを見せろ!! ロックオン!

お前がやらないならお前を殺してオレ様が世界を変えてやる!

 ロックオンこんな知らない所からすでに生命の危機。

#F03「アザディスタン」

 サブタイ通り、アニメ本編におけるアザディスタン編(#12・13)の裏側を描いたエピソード。
 やはりこのエピソードでも、ロックオンに対するフォンの物言いが酷い。

カスタムフラッグごときに勝てないロックオンならいらねえな!

 ちょwwwww相手は一応グラハム・エーカーwwwww
 また、劇中で退却を余儀なくされた二名の部下。この退却劇は、フォンのサポートがあった、と言う場面が見られる。
 フォンがサーシェスの存在を知り、また同じく世界を自分の力で変えようとする刹那への共感を見せた所で物語は終わる。見開き二ページの書き下ろしされたシーンが存在する事で、よりこの外伝と本編のリンクを深めている。

#F04「ソレスタルビーイングVSフェレシュテ」

 アニメ本編#17「スローネ強襲」のAパートとBパートの間に位置するエピソード。
 その根拠となるのが、トレミー側からフェレシュテにもたらされたスローネのデータ。これはトレミーのイワンからもたらされた情報であり、この事から、本編Aパート→#F04/#F05→本編Bパートとなる事が判る。
 #F04と#F05は前後編になるエピソード。シャルが開発した覚えも無いスローネと共にトリニティチームが現れ、Oガンダムの引渡しとフェレシュテの解散を要求してくる。
 これに反抗しプルトーネで出撃したフォンは、反逆行為と見なされ首輪の爆弾を爆発させられてしまう。
 このエピソードの一つの見所はハナヨ。ハナヨが自身を「ヴェーダとコンタクトできる一端末に過ぎない」と言うのに対し、フォンが「我思う故に我在り」と言う言葉で彼女の存在を肯定する。これが、次回のエピソードでフォンの命を繋ぐ重要なファクターとなる。

#F05「想い……そして希望」

 フォンの命の危機に、ハナヨが自らの意思でフォンを救う事を決断するエピソード。
 ヴァーチェにおけるナドレに相当するコアファイターでスローネから逃れ、ハナヨはモレロ医師を頼ってトレミーへと向かう。
 コアファイターの内部で、フォンを膝枕状態でコクピットに浮いているハナヨがおいしすぎる、まさにこの一言につきるエピソード。ある意味、ティエリアのロックオンに対する感情にも似ているのかもしれない。 

ゲストイラスト

 電撃HOBBYで連載されている外伝のキャラデザを担当した羽音たらくのゲストイラスト。フォン・スパークによる肉欲の宴wwwww
 ハナヨが意外とノリノリっ。

オマケ

 裏表紙をペロリとめくると……?

次巻

 次巻はトランザム獲得からスタート。アニメは終わっても、外伝シリーズはまだまだ終わらない!