最終話「天の光は全て星」

 多元宇宙の迷宮を抜け出し、ついにニアの下へと辿り着いたシモン達。大グレン団すべてのメンバーが超銀河グレンラガンにスピンオンした最終最強のグレンラガン――天元突破グレンラガンで、アンチスパイラルとの最後の決戦に挑む!



天元突破グレンラガン』再放送感想終了!
 世間から遅れる事半年。劇場版の公開も決定したこの時期にようやく視聴完了。噂に違わぬ傑作で、リアルタイムで視聴していなかった事が今更悔やまれる作品だった。
 以下感想。

天元突破グレンラガン

ニア「因果の輪廻に囚われようと!」
ヨーコ「残した想いが扉を開く!」
リーロン「無限の宇宙が阻もうと!」
ヴィラル「この血の滾りが定めを決める!」
シモン「天も次元も突破して!」
全員(シモン除く)「掴んで見せるぜ、己の道を!」
シモン「天元突破グレンラガン!」
全員「俺達を、誰だと思ってやがる!」

 そんな口上も高らかに、天元突破グレンラガン誕生! シリーズタイトルの名を冠した天元突破グレンラガンは、大グレン団メンバーすべての力を結集し再現する事のできる、最高最強のグレンラガン
 ヨーコのライフル、ヴィラルの二刀流、ダヤッカ達の超次元アンカーで「俺の嫁は宇宙一スイング!」。さらにロージェノムがラゼンガンを仮初に作り出すなど、まさに天も次元も突破する能力を兼ね備えたグレンラガン
 アンチスパイラルとの戦いは、銀河を踏み台にし、銀河系をも上回る超絶スケールを誇る、近年のアニメでも稀に見るスケールの大きさ。これは第四部共通なれど、ラストで最大のものを出してきた事に空恐ろしさすら感じるほど。

決意と覚悟

 アンチスパイラルも元は螺旋族だった。しかし螺旋の力が銀河を滅ぼすスパイラルネメシスを懸念し、自らの母星の人類の進化を止め
醜い姿に身をやつし、同族を殺してでも宇宙を守る。それが、ある意味ロシウ的な自らの正義の究極の姿でもある。
 敵ながら天晴れと言うか、さすがに好きで戦う事しか出来ない大グレン団の面々を見た後では、ある意味納得できる主張でもある。
 だが、それがシモンの言うように、閉ざされた宇宙で王様を気取るアンチスパイラルの限界である、と言う主張もまた事実。しかしただ一つ言える事は、アンチスパイラルも決して悪意からやっているのではない、と言う事だった。
 最後の「ならば、守れよ、この宇宙」と言う言葉が、シモン達とは主張は違えどアンチスパイラルの本心そのものだったはず。 

ドリルの意味

 ドリルは一回点すればほんのわずかだが前に進む。それは一分前の自分より進化する人類そのもの。ドリルが掘った穴を通る者、後から続く者。それらの想いを二銃螺旋に織り込んで、明日へと続く穴を掘る。それが天元突破。それがグレンラガン。シモンのドリルは、明日を創るドリルだったのだ!
 もうここまで言われれば何も言う事は無い。「ドリルは男の魂!」とはこれまで安易に口にされ続けた言葉だが、それにここまで意味を与えた事は、賞賛に値する事だろう。

天元突破グレンラガン→超銀河グレンラガン→アークグレンラガングレンラガン→グレンとラガン

 このアンチスパイラルへの最後の突撃もその象徴とも言える突撃。どれだけドリルが砕かれても前進し続け、しかも最後の攻撃は、ヴィラルの駆るグレンの「男の魂完全燃焼! キャノンボールアタック!」からのラガンインパクト!
 もうこれに燃えずして何に燃えると言うのか!

誰でもない一人の男の物語

 アンチスパイラルを倒したと言う事は、アンチスパイラルに作られた仮想生命であるニアの死を意味している。それを螺旋力で復活させようと思えば、できたのだろう。だが、シモンはそれをしなかった。死んだ人間は戻ってこない。それをわきまえ、コアドリルとグレンラガンをダリー、ギミーら後の世代に託し、シモンは総司令からただの穴掘りシモンに戻って旅に出た。
 もしもシモンが螺旋力を使ってニアやカミナを生き返らせて、やりたい放題やっていたら、その結末は、第1話のアバンのような、「天の光は全て敵」と言う状況に陥っていたのではないだろうか。
 だから最後に、「無理を通して道理を蹴っ飛ばす」事無く後進にすべてを譲り、「俺を誰だと思ってやがる!」と自分を主張する事無く、ただの一人の男として天を見上げたシモンは、まさしく星の光の一つになったのだろう。カミナやキタン達。そしてアンチスパイラルも同様に、天に輝く星の一つに。

総評

 シモンと言う一人の男の一代記を壮大なスケールで描いた傑作中の傑作。これは、劇場版も期待したくなる作品。劇場公開を楽しみにしつつ、アニメ本編、感想終了。