第21話「永遠」

 人工島完成二〇周年式典を控え、島中が式典の話題で盛り上がっていた。式典では気象分子の稼働が大きな目玉として決定されていたが、久島は一人その稼働に異議を唱えるのだった。

第一感想

 いよいよ、クライマックスに向けての第一歩が始まった。
 気象分子。ジェニー・円。書記長とソウタの関係の終わり。さらわれた久島……。と、今後にとって重要なファクターの目白押しだ。
 これから、最後の一枚絵のようにそろってハレー彗星を見る事ができるのだろうか。
 以下感想。

楽園の翳り

 久島、書記長、ジェニー・円の三人が作り上げてきた人口島と言う名の楽園。
 これまではメタルがメインだったが、今回の気象分子と「水資源不足の解消」と言う大義名分で、人口島はさらなる飛躍が期待される。
 しかし久島がこれに待ったをかける。波留のダイブがもたらした記録、地球律との関わりから見れば、気象分子の使用は危険が過ぎる。しかし、ジェニー・円と書記長は久島をさらう事で意見を封殺しようとしている……?
 楽園の裏でこれまでも繰り返されてきた類の陰謀だが、今回は久島なだけに、気象分子にどれだけの力が入っているか、それが分かる行動でもあった。

もう一度海へ

 半年かけ、波留は自分の足で歩けるようになった。それを見越しながら何も言わず、波留が自分で気がつく事を信じた久島の友情がアツい。
 久島はもう一度、波留に海へダイブしてくれるように頼む。そしてソウタの父・マモルに、波留用のダイブスーツの開発も頼んでいる。波留が再び本当の海へ潜る日も近い。

ソウタとホロン

 森の一件以来ホロンも何かが変わったのか、感情、と思えるような行動を取るようになってきた。
 ソウタを買い物に誘ったり、シューズを買ったりと、それは一個人とも見える姿だった。並列化していない事。一個人として扱われる事で、彼女自身の個性が生まれつつあるのかも知れない。
 一方のソウタも、ペアブレスレット・インフィニティを購入し、書記長との愛人関係を断つなど、ホロンとの関係を真剣に考え、行動している。
 余談ながら、むしろソウタよりも書記長の方にしんみりしてしまった自分である。あの潔い別れ方は、なかなかできるものじゃない。
 彼女とソウタの関係が、久島を取り戻す道へつながるかも知れないが……?