『灼眼のシャナII』第9話「哀しみのマイルストーン」

 エンパイアステートビルマージョリーアナベルグ、シュドナイとの戦いが始まった。二人の戦いを見つめるユーリイ。彼女を助ける事のできるフレイムヘイズは自分しかいない。ユーリイは「助けたい」「力になりたい」と言う想いから未熟な能力『隷群』を使い参戦する。




 フレイムヘイズを「復讐だけの人間の抜け殻」と嘲笑うアナベルグの欲望「文化の加速」。
 それは、人間の文明を破壊し、その喪失からさらに文明を発展させる事。麦の穂をあえて踏みつけるように、成長するための痛み・喪失を押しつけるアナベルグを討滅したのは、新米フレイムヘイズのユーリイ。
 彼は「守りたい」「助けたい」「力になりたい」と言う思いから自らを「奪うものから守るだけの存在」と称し、多くのフレイムヘイズが存在理由とする「復讐」から逸脱した異端のフレイムヘイズ。しかしそれも、アナベルグと同じ徒に命を奪われた痛み故。失った痛みを糧として他者を守るために存在する彼にアナベルグが倒されたのはある意味皮肉。
 だがそんな彼だからこそ、自らの死を招く事になる。
 マージョリーシュドナイの戦いは、ユーリイが要所要所で介入したせいで水入りの引き分けに。その引き分けも、そのままでは両方死ぬまで戦うしかなかった二人の戦いに(シュドナイにとって)、幕を引くために都合のいい存在でしかなかった。 
 マージョリーは銀への復讐のために、シュドナイを倒すために命をかけられないと判断し、ユーリイを殺すのに一役買ってしまった。その選択肢を選ぶ事を彼女は迷わなかった。




 マージョリーの、銀に対する復讐の想いを知った佐藤と田中。
 田中はそれを知ってマージョリーを「強い存在」と判断し、佐藤はむしろ「弱い存在」と知る。田中は未だ憧れでマージョリーを見ているのに対し、佐藤はバイアスを捨て一個の人間として見始めている証左。彼女はただの強い姐さんではない、弱さも併せ持つ人間なのだと。
 マージョリーが「どんな大切なものを犠牲にしても」成し遂げたい銀への復讐に、佐藤と田中の「大切なもの」が巻き込まれた時。それがマージョリーフレイムヘイズの世界に飛びこみ、ついて行く事のできる分水嶺になる予感。




 一方、悠二の鍛錬は順調に昇華し、ついに封絶を展開するまでに至る。しかしその炎の色は、マージョリーが何を犠牲にしても討滅したいと焦がれる「銀」色だった。
 すでに原作では解明されている伏線ですが、アニメで映像としてみると銀の炎のおどろおどろしさが際立つ。
 前回『約束の二人』の片割れ、フィレスの情報をつかんだヴィルヘルミナ。次回からはついに学園祭編! 役者と舞台ががじりじりとそろっていく。