第三夜「真紅の雨は午後に降る」

 女優・鬼塚優衣のもとに殺人予告が届けられる。隼人と霧子も彼女の調査を始めるが、ガードが固く思うように調査は進まない。
 そして、鬼塚優衣は自身のゴシップを脅迫され、劇場に呼び出され……。




 いよいよ骸骨男=スカルマンが本格的に登場し始めた。
 スカルマンはただ単に無軌道な殺人を繰り返す殺人鬼ではなく、自ら率いる異形の犬=麗奈と徹郎と同じく、異形へと変身する事ができる人間を狙っている事が明らかになった。
 しかし同時に、目撃者(白鈴會の証を持っていたから?)鬼塚優衣も容赦なく射殺する容赦のない面も見せている。
 小夜子を殺す際の詩的な一面と殺人鬼の一面。まさにマクベスの「綺麗は汚い、汚いは綺麗」を象徴するようだった。




 今回のエピソードは常にこの言葉が根底にあった。
 鬼塚優衣は女優として成功するために、心底嫌悪しているであろう警察署長との関係持っていた。しかし同時に、その目を盗んで若い男との逢瀬も楽しんでいた。
 小夜子は女優としての成功を目指しつつも、異形の人間として血みどろの戦いを繰り広げる。
 真耶は小夜子に「高く飛べる」と希望を与えつつも、それは異形としての戦いと死を意味していた。
 温厚そうに見えた立木も、その実、大伴の裏の顔、闇を探ろうと言う下心を持って隼人に接近してきた。
 そしてそもそも、舞台となる大伴市自体が表の顔とは裏腹に深い闇の顔を持っている。




 裏と表の強烈なコントラストと、同じ異形達の殺し合いの悲哀。こういう何ともいえないやるせなさと言うか、ホラー的な要素はまさに石ノ森作品であり、『スカルマン』の真骨頂。
 その中で、隼人と霧子の変わらない軽妙なやり取りが唯一の救い。