劇場版『仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE』

 ギャグです。勘違いしないで下さい。これギャグです。皆が皆、大真面目にやってるからこそのギャグなのです。愛のため、組織のため、自由のため、野心のため、命を尽くしそれぞれが真剣だからこそ、ギャグなのですっ!
 いや、ほんとはそんな映画じゃなかったんですが、それだけは言っておきたかったポイントなので(笑)。
 そもそも、巨大隕石が太平洋に落下して海が干上がり水が無くなった世界という設定ですが、地球の七割を占める海が無くなってたら、呑気にライダー同士で戦ってられない気もします。
 水不足で給水車に殺到する人々もいるのに、ビストロサルは営業中。なぜか小奇麗なスーツ着たサラリーマンまで。イマイチ、滅びの世界って感じじゃありませんでしたしね。そういう意味では、『北斗の拳』って偉大だ。
 以下ネタバレ感想。

  • 一番のマサカは

 まさかまさかの展開は、ひよりは総司の妹であり、新はひよりと結婚するという事。そりゃ、総司はひよりに関して熱くなるし、新は友達じゃないわけです。だって義弟ぢゃん(笑)。

  • テロリスト

 ドレイクがZECT基地を襲撃するシーンがあるのですが、ある意味まんまテロリスト。ロボットスーツが戦場を闊歩する日も近いこの情勢下で、コレは危険だと思った。

  • それぞれの散り様

 壮絶に散っていく戦士たち。その軌跡がラストへとつながり、奇跡を生んだ!……のかどうかは観た今でも疑問ですが(ぇ)、とにかく凄かった死に様の数々。
 ・風になりたかった男、風間ドレイク。しかしドレイクは、修羅の裏切りによりネオトルーパーたちの集中攻撃を受けて死亡。……あれ?
 ・久々登場のバトルスタイルも懐かしい矢車ザビー。しかし、ヘラクス相手に「この俺に完璧な死が訪れようとは……」ともう笑うしかないコメントで息絶える矢車さん。自分、心の中で不謹慎にも大爆笑。
 ・修羅が「最後の頼み」と言った横から大気圏から落下してきて、ZECTへの忠誠を誓いながら爆死するケタロス。笑っていいのか泣いていいのか。や、笑いましたが。
 ・無敵のライダー、コーカサスに敗北したヘラクス。中の人、織田は、妙に総司と一緒に天地を制覇する事にかけた男でした。 
 ・そして、裏切りの女、修羅。しかし彼女もZECTに騙されていた事を知り、全てを総司に託して死亡。哀れな最後、裏切りの結末。
 ・黄金のライダー、コーカサス。ハイパーゼクターによるハイパークロックアップを使いこなし、世界の終わりにも「薔薇が見つめてくれればいい(意訳)」と多分本気で言っているとんでも男。しかし、意趣返しに新の命を狙って脱出ポットに張りついてみたりして、最後は微妙にせこいところを見せるこの男。当然、ハイパーカブトのトラディッショナルハイパーライダーキックを受け、ステーションと共に爆死します。何だか、最後はちっちゃかったなぁ。
 

 このような様々な死に様が展開したわけですが、やはりライダー同士の戦いって見ていてつらいです。
 特に『カブト』のような「オレサマ系」中心では、見ていて本当に。

  • 天空の梯子

 長大さが見事に表現された軌道エレベーターですが、カブトはなぜか飛行できるカブトエクステンダー・エクスモードで昇り、カブト&ガタッククロックアップで生身の状態で昇りきるなど、本当に梯子の役割しか為していないのが泣けた。
 一応、エレベーターで昇っていった新たちが悲しいっ。

  • 繰り返す世界

 時間を巻き戻すハイパークロックアップで、巨大隕石ごと七年前に戻り、隕石を破壊するハイパーカブト。しかし破片は渋谷に落ち、そこではやはり幼少の総司がひよりを助けるために手を伸ばしている……。
 そこに現れるハイパーカブト。幼少の自分自身にベルトを渡し、ひよりを助けさせ、消える。
 ある程度予測はしていたものの、ほんとにやっちゃったループ展開。しかも本編との内容と地続きであるならば、多分数周以上している事は確実。
 勝手に予想を立ててみると、

・一週目…
隕石が太平洋に落下し、世界的な異変。カブト、ハイパーゼクターでハイパークロックアップ。隕石迎撃に出撃。しかし失敗し、二周目に。
・二周目…
二周目に突入するも、時間軸にズレが発生。隕石落下よりも三十五年も早くついてしまい、そこでマスクドライダー計画の中心者となって行動する。しかし、内部の裏切りによって計画は改竄され、地下に仮面を被せられ拘束される。総司はハイパーゼクター開発の実験台となり、若いままで拘束され続けられる。
 三十五年後、この時間軸で生まれた天道総司がハイパークロックアップで歴史改変に失敗。隕石迎撃に失敗し、隕石は落下してしまう。
・三週目(劇場版)…
隕石迎撃に成功する。しかし歴史修正のため人間関係が若干改変された世界になる。ひよりは他人になり、樹花が妹になる。
・四週目…
さらに正確な歴史改変を目指し、再び時間移動。失敗し、渋谷に隕石が落下。
・五週目…
そして本編へ。

と、妄想前回で書き連ねてみました。
 色々言いたい事はありますが、今回の劇場版で『カブト』の世界はより大きく、深く広がりました。その意味では、大成功だと思います。
 何より、ラストは海で遊ぶ総司、新、ひよりの三人だった事がよかった。いかに時間が繰り返しても、こいつら三人の絆は変わらない事が一番だと思います。