『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』

 観てきたー!
 他にも感想は溜まっているがなるたけ早く感想をUPしたかったので、先にこちらの感想を。
 以下ネタバレ有り感想。

第一感想

ガンダム』と言うより、パニック映画か怪獣映画? と言うのが第一感想。
 エルスの存在が圧倒的で、それに対する人類はあまりにも未熟で、「異種との遭遇」と言う時代の大きなうねりのただなかに、各キャラクター達が「ずどどどーっ!」と流されてしまっている感じがした。
 とは言えそれは観ていた自分も同じで、
「え? 何それ?」
「ちょ、うぇ、一体何がwwww」
「せっちゃあああああああんっっ!」
 等等、観ていてろくろく理解も出来ないまま、とにかく叫びっぱなしだった(もちろん心中で)。
 ところで、平日の昼間に観に行ったのだが、服装に不自由しているオタっぽい人から女性まで幅広い年齢層の人が来ていて、『00』人気を再確認。そう言えば、『マクロスF』の時もそうだったか。
 もちろん自分は、服装にも顔にも不自由しているヲタク枠です(笑)。

劇中劇『ソレスタルビーイング

 いきなり凄いのが始まって吹いたwww
 本作は『00』登場したメインキャラが総登場する豪華なものだったのが、アレハンドロ、こんな役かよ(笑)。アングルだとかブーメランだとか、これは一体どこの『武力介入ダブルラガン』?
 そんな映画を観ながら、「僕出てなかったな……」とか言っちゃう沙慈が(笑)。そりゃ、存在知られてたら生活できないよw

ルイス入院中

 セカンドシーズンでせっちゃんのGN粒子パワーですべて解決した? と思いきや、まだPTSDだとかリボンズに渡されていたナノマシンの副作用だか何だかで入院中の様子のルイス。
 そんなルイスを、働きながら働いている沙慈が偉い。まさに一般市民の鑑である。文句ばっかり言って流されていた時とは違い、沙慈も大きくなったものだ。

マリナ、コロニー公社視察

 セカンドシーズンから続く歪みが、コロニーの労働力問題と言う事で、強制的に労働させられている中東の民のため、マリナは直接視察に向かったらしい。
 自分を暗殺しようとする人間をまっすぐ見つめて、正面から対話をはかるマリナには、これまでの貧乏姫から一皮剥けて、もはや聖人に近い人間的パワーを感じさせられる。

私設武装組織ソレスタルビーイング

 セカンドシーズン後もひっそりと活動を続けてきたソレスタルビーイング
 とは言え、融和政策を打ち出している連邦政府には現状文句が無いようで、小さな火種を消して回る日々が続いている様子。
 特に実際の武力介入では、ガンダムは使わずフラッグやマイスターによる直接的なミッションが多いようだ。
 これは世界に対してガンダムの存在感が派手すぎるのと、簡単にガンダムの移動が出来ない、と理由があるらしい。
 と言うか、あのせっちゃんがフラッグに! フラッグに! グラハムがこれを知ったら、どうにも複雑な顔をしそうである(笑)。

鈍いイノベイター

 せっちゃんが鈍いのは、いつもの事です(ヲイ)。
 それはともかく、本作のせっちゃんは序盤からちょっとテンション低め。イノベイターに進化して、どうにもその能力に戸惑っているのもあるが、それだけでは無いようにも感じる。
 何の為に生き、何の為にイノベイターになったのか。当面の目標を失って、宙ぶらりんな状態になっているのが本作の刹那だったのではないだろうか。
 考えてみれば、刹那に目標が無い時期と言うのはこれまで無く、そんな状態になったのは、今回が初めてだったのね。

コーラサワーとカティ

 何だかんだで、ラブラブカップルじゃねーか(笑)!
 調査の為に外宇宙航行艦ソレスタルビーイングに住んでいるカティ達だが、もはや二人の新居状態。リボンズルームがすっかりカティとコーラサワーのプライベートスペースになっとるw

デカルト・シャーマン

 声優さんが、本職の方では無く役者畑の人だけに、巧く作中での異物感が出ていたなー、と思ったキャラクター。
 まったく触れられなかったが、元アロウズ出身で、刹那のトランザムバーストでイノベイター純粋種として覚醒したのだとか。
 元アロウズでもあり、初のイノベイターと言う事もあって、実験動物さながらの扱いを受けていたようで、刹那の暗い未来を描いたキャラクターだった。
 ガデラーザと言う専用機もあったものの、エルスに取り込まれてあっさり死亡してしまった。刹那と接触する事も無く、その最後まで暗かった。
 対話を拒むイノベイターがどんな最後を遂げるか、それを見せつける役どころとなってしまった。
 ちなみに、最後の最後でエルスを支配し、ジャイアントメタルデカルト・シャーマン(仮)となり、地球人類への復讐を果たそうとするラスボスになる……そう思っていた時期が、自分にもありました。

エルス

 正式名称はELS(Extraterrestrial Livingmetal Shapeshifter)。
ガンダム』シリーズでガチで現れた(種の羽根クジラは化石だし)、初の異種生命体。
「来るべき対話」と言うのは、ソレスタルビーイングの象徴的なフレーズだったはずだが、人類がろくに外宇宙に進出する準備も出来ない内に登場してしまった。
 金属生命体であるが、意思疎通の手段に脳量子波を使っているので、イノベイターに進化する可能性のある人に惹かれ接触を試みるが、彼らにとっての対話とは他者との融合であり、それは地球人類にとって、ただ侵略としか捕らえられなかった。
 彼らは母星が滅亡(あるいはその寸前?)の状態であり、そこから脱却する方法を探し、外宇宙に進出したらしい。ちなみに、木星ワームホールがあるそうです。……ワームホールって、何ぞ!? とか思っていたが、わりと人類サイドも無茶やっていたのだった。ダブルオークアンタとか(笑)。
 人類に攻撃を受けたせいか、どんどん攻撃的な形状に変化していったエルス達。最後には、MSから巡洋艦。おまけにビームからフィールドまで、ありとあらゆるものを学習、コピーしていった。
 それはそれとて、気になった事が一つ。エルスって、推進力どうしてんの(ヲイ)?

リボンズ復活!?

 しつこくリボンズ復活!? と思ったら、エルスがコピーしていた、エウロパに搭乗していたリボンズタイプのイノベイドだったでござる。
 しかし、銃弾を受けてもなお前進し続ける姿は、どこのターミネーターなのかとw

アレルヤ一行、襲撃

 この辺り、もう何映画を観ていたのか分からなくなってきた一幕。もう、ガンダムいらねえよ! アレルヤとマリーが事件に巻き込まれて、超絶身体能力とアクションで敵を突破していく〜みたいな、そんなハリウッド映画展開でも、別に何も不思議じゃ無かった。
 アレルヤ、ハレルヤはともかく、マリー、ピーリスとも変化があったのはびっくり。基本、MSを操縦するのはピーリスの仕事なのね。

デュナメスリペア

 まさかのデュナメス登場! さらにそれに乗っているのが二代目ロックオン=ライルと言うのがまたオイシイ!
 本作におけるソレスタルビーイングは財政難。かつガンダムを人目に触れず輸送する方法が無い事から、修復した過去のガンダムや機体を地域ごとに隠匿し使用している事が外伝で判明している。
 ヴェーダを使えばいくらでも金なら調達し放題なのだが、それはさすがに自重しているらしいw

ミーナ・カーマイン

 声とその容貌から、ネーナのオリジナルになった人間か?
 さすがネーナのオリジナルらしく、小悪魔的なアクションで童貞科学っ子ビリー・カタギリを着実に追い詰めていきます(笑)。おのれ、乳と生足にころっと騙されやがって(コラ)!
優しくおねがいします……」じゃないだろこの馬鹿w

ガンダムチーム対エルス

 地球連邦軍に適性存在と認定されてしまったその後、エルスはソレスタルビーイング接触。エルス達は、刹那の脳量子波に反応してやって来た? のだろうか。
 ここでエルスが木星探査船エウロパに擬体しているのだが、これもよく考えてみれば、エルス達なりに、人類に対して気を使っていた証左だったのだろう。人類に馴染んだ姿で、驚かせまいとしたのだろうが、十分逆効果でしたw

ダブルオーライザー粒子タンク型

 オリジナルの太陽炉がリボンズとの戦いで失われてしまったので、ダブルオーライザーは粒子タンクを装着した形で登場。
 沙慈もいないので、最初からオーライザーまで合体しているのは、どうなのだろう? と思ったけど、現状、イノベイターに進化した刹那に適応できる機体は、コイツぐらいしか存在しないのね。

ガンダムサバーニャ

 二代目ロックオン専用機。乱れ撃つぜ! と、狙撃装備が少なくなった代わりに、全身ミサイル、多数のビット兵器と、ハリネズミのような事になっている。
 しかしこれも、マイスター中、唯一の一般人であるロックオンのための措置と思えば納得。しかし増えすぎた武装をコントロールするためにハロを増やすって、何だかなあと思った次第。可愛いからいいけど、これって、ハロがいればマイスターはいらないって事なんじゃ……(笑)。

ガンダムハルート

 キュリオス系列の装備を全部くっつけた機体。機体が複座型+複眼なのは、マイスターであるハレルヤ達超兵の「思考と反射の融合」を活かす為の措置なのかも知れない。

ラファエルガンダム

 外宇宙航行艦ソレスタルビーイングの未調査区画でティエリアが造っていた専用機。「ガ」系列の技術と、セラフィムガンダムの融合と言う、トレミーチームとイノベイド系列、二つのソレスタルビーイングの技術を統合した機体となっている。
 刹那(=イノベイター)のピンチに颯爽と現れ、これを救った姿は、人と寄り添うイノベイドにふさわしい活躍だった。

対話の失敗

 高濃度GN粒子を散布し、その内部で対話を可能とするトランザムバーストをエルスに対して発動した刹那。
 しかし、エルスの持つ情報量が多すぎて、逆にダメージを受け昏睡状態に陥ってしまった。
 逆にエルスは、やっと話が分かってくれそうな人間に遭遇した事で大興奮(?)。わらわらわらわらと、刹那を大追跡なのであった。

グラハム、登場!

 せっちゃん達ソレスタルビーイングのピンチに駆け付けたのは、何とグラハム率いるソルブレイヴス! こいつがまた、圧倒的な空戦性能を魅せつけてくれるんだこれがまた!
 グラハムが、久々にまともにかっこいいシーンを観られて大満足。ファーストシーズンの、軍人としてかっこいいグラハムが久々に戻ってきた。そんな感じだった。

真に超えるべきものは

 グラハム、トレミーに降り立つの巻。
 エルスとの対話でダメージを受けた刹那を見るグラハムは、真に超えるべきものは、ガンダムでは無く、刹那その人であった事を再確認するのだった。
 矛盾を抱えながら生き、前進する刹那。そんな生き方に比べ、かつてのブシドーだった頃の彼は、矛盾無く生きようとしていた。それは人として、逆に歪んでいる生き方だったのだろう。
 刹那を久しぶりに前にして、「刹那を超える」と認識したからこそ、刹那の為、人類の為に道を切り開く事が出来たのだろう。

最終決戦

 巨大エルスまで登場し、ついに人類とエルスの最終決戦が始まった。
 軍縮傾向にあったせいで出し惜しみ出来ない状態で、人類の持てる戦力の、まさに総動員となった戦いになった。最初こそGN-X ?メインだったのに、最後の方になるとガガやらティエレンやら、出せるもの全部出しました、ってな感じになって行くもんなあ。

「あえて言おう! 生きろ!」

「覚えていろ!」からえらい進歩だ……(笑)。

小熊の戦い

 セカンドの時と違い、最後の最後まで「軍人」として節を徹して生き、死んだ。そんなアンドレイでした。 

不死身で幸せのコーラサワー

 最後の最後でカティに通信→トランザム→自爆の流れに泣きそうになったら、助けられて爆笑。
 もう、最後の最後まで、コーラサワーなんだからwwwww

戦場に咲く恋の花

 本作では、悲恋のヒロインとなったフェルトやら、いきなりティエリアに告白のミレイナとか、ソレスタルビーイング女子組は強いぜ……!
 ところでリンダさんが「素敵な彼氏ができてよかったわね」とか、ティエリアが断る事を想定すらしていないのはどういうわけか。それはあれですか。「お前、ウチの娘フったらどういう事になるのかわかってるんだろうな? お?」的な、そういうあれですか、そうですか(ぇー)。

ダブルオークアンタ

 降臨、満を持して!
 戦いを止める為のガンダムとして開発され、その活躍そのものは戦いより、エルスとの対話にあった。
 エルスの膨大な情報を処理するため、ヴェーダのターミナルを乗せ、ティエリアが小さな妖精さん状態でサポートする。だが残念! それは、フォンとハナヨが先にやっている(コラ)!
 現状、地球に存在する知性体=人間(イノベイダー)、イノベイド、ヴェーダの三位一体で、エルスとの対話に挑む。まさに、イオリアの理想を体現する天使的な存在だった。

エルスとの対話の果てに

 エルスの目的を理解した刹那。そしてティエリア。そこで刹那が選択した事は、エルス達の母星に行く事だった。
 ここでようやく、目的が無く宙を浮いていた刹那が目的を発見した瞬間だった。
 いきなり何をするとか言うでもなく、「エルスの母星に行く」と言う選択肢を選ぶ事が、いつものせっちゃんと言うか何と言うか(苦笑)。
 って、そこでいきなりダブルオークアンタが消えた事に目が飛び出るほど驚いた。一瞬何が起こったのか、リアルで分からなかった……。これは、あれですか。まさか量子化の応用で、エルスの母星へひとっ飛びって奴ですか……?

 人と人……。知性体と知性体が分かりあう事は、本来はとても簡単な事。
 その象徴が、エルスが変化した、巨大な一輪の花だった。おそらく、エルスが刹那の思考を読みとってああいう形に変化したのだろう。
 人とエルス。二つの知性体が対話の果て、分かりあえた、その象徴となった。
 そして、「分かりあう事が簡単である」と言う事を花で示した事に、自分は観ていて驚愕。一体何を出すんだろうと思ってみていたら、まさか花だとは。自分が、「対話」と言う言葉をどれだけ難しく考えていたのが、ちょっと恥ずかしくなるほど理解させられてしまったシーンだった。

若き日のイオリアと、

 若き日のイオリアと話すのは、リボンズのオリジナルとなったであろう人物……E・A・レイ。
 知性を正しく用い、さらなる進化を目指す為、ほとんどのものをこの時点で用意していたイオリアはまさに天才と呼ぶにふさわしい存在だったのだろう。
 そして、人嫌いのイオリアにも、ちゃんと友達がいてよかったよかった(笑)。

西暦2364年

 劇場版から五〇年後。人類の四〇パーセントはイノベイターと化し、いよいよ外宇宙への本格的な航海が始まるらしい。艦の名前が「スメラギ」なのは、作ったのがビリーだからなのかな(笑)?
 クラウスが艦長らしいので、彼もまたイノベイターとなったのか……。
 しかし、たった五〇年で凄い意識改革があった様子。人と人が延々と争い続けるのが『ガンダム』世界だが、『00』はガンダムにあってガンダムを脱した作品となりえたのかも知れない。

私達は 分かり合えた

 政治の世界から身を引き、花畑の中の家でピアノを弾いているマリナ。すでに老いて目も不自由になったマリナの下に現れたのは、エルスと融合した刹那その人だった。
 そして互いは抱きしめ合い、分かり合えた事を喜びあう。そしてダブルオークアンタは、その役目を終えたように花畑の一部となっていく……。
 あくまで人として、人の出来る範囲内で人と分かり合う事を求めたマリナ。
 人と言う存在から脱却し、孤高の存在となって行く事で分かり合う事を求めた刹那。
 しかし、互いの存在がどれほど遠い存在になったとしても、分かり合う事は簡単な事だった。もうマリナは歌を歌う事すら必要では無い。そして刹那は、ガンダムにすらこだわる必要も無い。
 ライフルを抱えた一人の少年がガンダムを見上げる事で始まった物語は、成長した少年が他者と抱きしめ合い、ガンダムが地に下りる事で幕を閉じるのだった。 

総括

 人と人は分かり合う事が出来る。
 そんなテーマを一貫して掲げた『00』は、その範囲を広げ、人以外の知性体とも分かり合えると示し幕を閉じた。
 もう『ガンダム』ものとしては完全なNGなのだけれども、『00』としては十分に有りなエンディングなのだろう。そも、せっかく分割して二クールも使って連邦を作ったのに、また人対人になったら、後退してるのと同じだし。せっかく「異種との対話」って言ってきたのだから、もう出さないと嘘だよね、宇宙人(笑)。
 エキセントリックなキャラクターの言動や深い作中テーマで魅せてくれた『00』。外伝との連携もよく、非常に楽しませてもらった作品となった。
 これからも外伝が続くので、いずれ本作を見返す日まで、そちらも楽しんでいこうと思う。
 ところで、エルスと融合した事で、最後に「ガンダム刹那」に進化したんじゃないの? とか思ったのは、自分だけなんだろうか。まさに、リアルな意味で俺がガンダムだ(笑)!