アン・マキャフリイ『パーンの竜騎士/外伝(2) 竜の貴婦人(上)』

 以下感想。
『パーンの竜騎士』外伝シリーズ第二巻。
 惑星パーン入植初期の時代を描いた第一巻より、一五〇〇巡年後。レサ達の時代から約九〇〇年前の惑星パーンが舞台となる。
 糸胞を竜と竜騎士が迎え撃ち、それを他の城砦が支援する、と言う社会システムが構築されて、確固たる伝統として成立した惑星パーン。
 しかしそれ故失われたものも多く、入植初期の科学技術をはじめ、優れた医療体制もその一つ。そんなパーンを襲ったのは、原因不明の疫病。疫病は瞬く間に広まり、一般人をはじめ、竜騎士にまでその猛威を広めつつあった……。
 糸降りが終わるまで後約八巡年、と言う所でパーンを襲った新たなる驚異。「科学技術を捨て、牧歌的な生活を送りたい」と言うパーン人の理想をあざ笑うかのような疫病の猛威。そんな疫病に対し、あまりに原始的な対抗策しか無いパーンの人々はあまりに頼りない。
 しかしそこはそれ、マキャフリー作品のキャラクター達は図太さが光る。
「きっと自分達は生き残るのが上手いのよ」と言いながら、糸降り、そして疫病に対して諦めず屈しない姿が快い。