アン・マキャフリイ『パーンの竜騎士(9) 竜とイルカたち』
竜とイルカたち ―パーンの竜騎士 <9> (ハヤカワ文庫SF)
- 作者: アン・マキャフリイ,小尾芙佐
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/07/21
- メディア: 文庫
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そもそもマキャフリー作品自体、どうもあんまり本屋では見かけない。注文しようにも、昔からのシリーズだからすでに在庫が無いようだし……。
映画化でもすれば増刷されるだろうが、あんまり映画向けでも無いしなぁ。
まぁ、愚痴はここまでにして。
以下感想。
竜とイルカと人間達
『パーンの竜騎士』シリーズの最大の魅力は、惑星パーンに入植してきた人間と、その人間が糸胞退治のために遺伝子改造で造り出した竜とのパートナーシップだ。
だが、今巻では、「竜の挑戦」で少しだけ触れられた舟魚こと、イルカ達の人間とのそれが強く描かれる。
惑星パーン入植の際共に連れてこられ、精神統合処置を施され、人語を解し、会話すらできるようになったイルカ達。
精神を互いに深くつなぎ合い、一方が死ねば他方も死んでしまう、と言った強固でロマンチックな竜との関係と違い、ギブ&テイクなイルカとの関係性の違いが面白い。
「竜の挑戦」のサイドストーリーであり、その後を描いた物語であるそれでは、惑星パーンが重大な転換期を迎えた事が明言される。
糸胞の脅威が無くなり、かつての文明を知り、蘇らせているこの時代は、かつての入植者達が惑星パーンで理想とした社会を作ろうとした状況と重なる事が。
ついに真の開拓時代を迎えた惑星パーン。他の巻も見つけて、物語の空白を埋めていきたいシリーズだ。