アン・マキャフリイ『パーンの竜騎士(5) 竜の歌い手』

『パーンの竜騎士』における<竪琴師ノ工舎>三部作の第二巻。
 前作『竜の歌』に続き、メノリが主人公となるエピソード。
 竪琴師ノ主工舎にやって来たメノリは女ながら、竪琴師を目指し徒弟として音楽の勉強を始めるのだが、そこで待っていたのは周囲の羨望と嫉妬。お稽古ごととして音楽を学ぶ娘達からは意地悪をされ、頭の固い教師達には才能を認めてもらえず、様々な困難が立ち塞がる。それでもメノリはそれらに負けず、女人竪琴師としての道を歩み出す……と言うのが今巻。
 両親の反対と妨害の次は、学校のクラスメイトからの妨害。ある意味、シンデレラストーリーそのものと言える今回。ある意味、マキャフリー作品の王道だよなぁ、とうなずきながら読み進めていった記憶がある。
 しかし様々な困難を乗り越え、夢を掴む、と言うのは王道だけに安定があり、面白い一冊だった。
 火蜥蜴と共に歌うメノリは、これからのシリーズにおいてもメインキャラクターの一人となっていくあたり、シリーズの人気と、作者の思い入れの深さをうかがえる。