アン・マキャフリイ『パーンの竜騎士(3) 白い竜』

『パーンの竜騎士』シリーズ第三巻。
 第三巻では主人公をレサ達から、第二巻で登場したルアサ城砦の若き太守ジャクソムと、そこで感合したルースの冒険を描く。
 以下感想。
 第三巻の見所は、何と言ってもジャクソムとルースの二人!

ジャクソムとルース

『パーンの竜騎士』シリーズは人と竜の絆が魅力だが、それが一番早く、そして強く出ているコンビがこの二人だと個人的には思う。第一巻、第二巻のレサ達と竜達ではそれほど感じなかった「バディ」関係が、生き生きと描かれているのが個人的には気に入っている。
 兼任できない太守と竜騎士。先の見えない将来。惑星パーンにたった一匹しかいない白い竜であるルースが白眼視される事に対する悩み。等等、若く悩み多きジャクソムに対し、実にあっさり「僕ハ凄イ」と自負心を持ってジャクソムのよき相棒となっているルースとの関係性が良い。
 先のレサ達は、むしろ本来の竜騎士の地位を復権させる事がメインだっただけに、一人の少年と一匹の竜が一緒になって将来を切り開いていく、と言うあくまで個人によったストーリーもその助けとなっているのかも知れない。
 ジャクソムとルースは、レサやラモスと同時に、今後のメインキャラクターの一人となっていくのも頷ける。

ファンタジーとSF

 そしてもう一つの見所は、ついに古代人=惑星パーン初代入植者達の遺跡が発見された事。
 初期の高度なテクノロジーが失われ忘れられ、ついには文明が後退し中世レベルまで落ち込んでしまった……と言うのはSFの王道の一つだが、そこでかつての文明の痕跡である遺跡を発見する、と言うのもまた王道の一つ。
 ファンタジー世界から覗く科学文明の匂い……と言うのが個人的には大好物なので、そう言う意味でも『パーンの竜騎士』シリーズでは一番好きになった一冊だった。