宮村優子×磯光雄『電脳コイル10』

電脳コイル10 (トクマ・ノベルズEdge)

電脳コイル10 (トクマ・ノベルズEdge)

 ノベライズ版『電脳コイル』第一〇巻。
 ついにイサコが"あっちの世界"への扉を開くものの、その扉は閉ざされてしまう。しかしその扉を探し、イサコ、ヤサコ、ハラケンはもちろん、大黒市の小学生達が目の色を変えて探し始める。
 テレビ本編の第18話〜第20話ぐらいまで。"あっちへの扉"の出現はもとより、ヌルの出現など、クライマックスにどんどん近付いていく。
 今回は、再び飯島聡子が登場。ノベライズの設定では、メガネは小学生までの期間限定。この期間を永遠にしてほしいとまで願う小学生までもいるのに対し、彼女は自らそれを捨ててしまう。現実の方がクセになるとか、そんな恐ろしい理由で!
 そんな現実に生きる醍醐味と言うか手ごたえを感じて生きていくタイプの人間に対し、ヤサコ達は違う。胸の奥にどうしても消化しきれないものがあって、それを何らかの形で目にしたい。手に入れたい、と言う切実な願いから、"あっちへ扉"を探し続ける。
 そして、それに一番乗りしたのがハラケン。アニメとはまた大胆に違った、「カンナとさよならする理由」に、ハンマーで頭を殴られたような衝撃を受ける。でも、それがまたノベライズ版っぽくて……またよしっ!