アン・マキャフリイ『塔のなかの姫君』

 自分が生まれる前に発売された本だが、実家近くの新古書店でたまさか発見し、即座に購入! これはもはや「買え」と言う天命としか思えん(ヲイ)!
 内容自体は、短編集。
 マキャフリイの長編『九星系連盟』シリーズや『歌う船』シリーズの続編も魅力的だが、その他に超能力がある世界や、高度な管理社会の中で懸命に生きる女性達の姿を描いた短編も同じように魅力的だ。
 マキャフリイはSFによくある問題(宇宙間での通信や交通はどうしているのか?)と言う問題を、「テレパシーによる即時通信ネットワークとテレポーテーションによる移動」と、超能力でざっくり片付けてしまう所があるのだが、そこがまた味があったりもする。
 広大な宇宙空間に、自分の思念で他人と語りあったり触れ合ったりと、それはそれで、実にSFちっくでロマンチックだ。
 また、個人的にたまらなかったのはあの『歌う船』の直接の続編となる「蜜月旅行」だった。
 前作で見事パートナーとなったヘルヴァとナイアル・パロラン(訳者の違いで、この本では「ニール・パローラン」になっているが)の、まさに『蜜月旅行(ハネムーン)』と言える初フライトにニヤニヤ。ヘルヴァの嫉妬心とか、この期に及んでまだ微妙にへたれているパロランとか、もうたまりません!
 マキャフリイ作品は現在では手に入らないものが多いが、懲りずにあちこち探しまわりたいなあ、と改めて思わされた一冊なのだった。