長谷敏司『円環少女(11) 新世界の門』

円環少女』シリーズ第一一巻。
 シリーズクライマックスに突入する、まさにその「門」と言える一冊。
 王子護の浮上させたアトランチスが嚆矢となり始まる一大決戦。
 仁とメイゼル達が核戦争を止めるべく≪九位≫との死闘を繰り広げているのと並行して展開するのは、たった一人の再演魔導師・きずなを巡る陰謀。
 戻ってきた妹・舞花がよりにもよって神聖騎士団のスパイで、きずなと同じ再演魔導師になってしまったものだからさあ大変。かくて地獄に神が降り立ち、戦いの構図は第一巻でのバベル事件同様、仁一行対神聖騎士団、と言う展開に回帰していく。
 辛い過去やトラウマ、過失をやりなおせる再演の神と、覚悟を決めて不退転なメイゼルが相容れぬわけが無く、彼女には神も破壊できる手段を持っていると言う事で、次巻では壮絶な戦いが予想される。
 ところで、帯には

もう絶対にあともどり出来ないのよ、せんせ(はぁと)

 なんて書かれてあるが、仁は全世界のお茶の間でメイゼルと関係を持っている(誤解)事が暴露され、すでに社会的に仁があともどれなーい(笑)!
 ちなみに今回はあのケイツが≪九位≫との戦いで大活躍! 初めの内こそ、ゴキブリと間違えられたり、美少女フィギュアを戦場に持ち込む可哀想な人になっているのが、途中から大活躍し始め、最後には仁がなれなかったヒーローの片鱗まで見せる。まさにダークホース! ≪九位≫も無視したケイツの意外な活躍に、次回も期待。