第四十五幕「影武者」

ストーリー

 シンケンジャーの前に現れたもう一人のシンケンレッド・志葉薫。彼女こそ真の志葉家十八代目当主であり、丈瑠は彼女の影武者だった。
 突然の事に戸惑う家臣達。一方、お役御免となった丈瑠は、一人街を彷徨うのだった。

第一感想

 ああ、薫が馬鹿殿ならぬ馬鹿姫なら良かったのに……。そう思ってしまう第四十五幕だった。
 実際に鼻持ちならないのは側近の丹波だけ。実際の薫ときたら、丈瑠を連想させる(と言うか、丈瑠が真似ていた、か)立ち居振る舞い。影武者の陰に隠れる事をよしとしない侍としての高潔さに至るまで、けなす所の無い当主ぶり。
 むしろ堂々とした戦いぶりは、一剣士である事を捨てきれなかった丈瑠よりも当主らしい。
 こんな完璧なシンケンレッドが登場してしまい、丈瑠はこれからどこへ行く……。
 以下感想。

OP

 た、丈瑠の役名にシンケンレッドって書いて無ーいっ! ちょ、徹底しすぎですスタッフさーん!

志葉家の策

 ついに明かされた影武者騒動の真実。
 三〇〇年に及ぶ外道衆=血祭ドウコクとの戦いで、志葉家は疲弊し、お家断絶の危機に。そこで先代が不完全とは知りつつ封印の文字を使いドウコクを封印し、次世代が育つ時間を稼ぐ。
 一方で、侍の家系では無いがモヂカラを持つ者(=丈瑠)を影武者として表に立て、外道衆の目を引き付ける。その裏で、真の志葉家はさらなる次世代を育てつつ、封印の文字を会得する。
 それがかつての先代達が立てた、起死回生の策であった。
 でも、画面を見る限り、丹波が強引に推し進めた策であるような気がしないでもないのだが……。
 その先代シンケンレッドを演じるのは松風雅也氏。劇場版の合田雅吏氏に続き、またもブルーが。レッドなのに(関係無いよ)。

家臣達

 突然の本物の志葉家当主の登場に、混乱する家臣達。これまで丈瑠と共に視線をくぐりぬけてきただけに、はいそうですかとあっさり薫の家臣になれるはずもない。
 流ノ介、茉子、ことははまだ言葉を胸に秘める方だが、丈瑠を超える事を目標としてきた千明は一人男泣き。おまけに源太は、侍の家系では無いと言う事で戦線を離脱し、丈瑠の傍に。
 薫への違和感をぬぐいきれない家臣一同。果たして今後どうなるか……。

薫・初陣

 ついにナナシ連中戦から戦いに参加する事になった薫。
 黒子にディスク装填から抜刀までやってもらう所が、まさに姫。
 初陣にも関わらず、真っ先にナナシ連中のただ中へ飛び込んでいく丈瑠とは違い、堂々と最後方から歩いていく姿。綺麗な刀さばき。巨大な烈火大斬刀を足を使って見事に操り、各種装備を危うげ無く使いこなす。
 丈瑠に勝るとも劣らぬ戦いぶりを見せつける。視聴者や家臣の目からすれば「強いし本物なんだろうけど、何か違う」薫。しかし薫からすれば、影武者を立ててその後ろに隠れていた人生から抜け出した最初の戦い。まさに晴れ舞台である。
 丈瑠と薫のどちらが正しい悪いではなく、志葉家の宿命が過酷すぎるせいでこうなったとしか言いようがない展開である。

たった一人の丈瑠

  • 「殿様じゃない自分は初めて」
  • 「びっくりするほど何も無い」

 ショドウフォン以外の装備と影武者と言う立場を全部取り上げられて、もう何も無くなってしまった丈瑠。かつての名も無い墓標=丈瑠の父の墓前でも、語る言葉は何も無い。
 しかしそこに現れたのが十臓!
自分と戦う。それだけで十分だ」と、お前はどこの少女漫画のヒロインを口説くイケメンだよ!? と言わんばかりのセクシーボイスで丈瑠を全肯定!
 そんな十臓に、「なにも無いよりはマシか」と戦いに応じる丈瑠! その笑顔は、かつての殿様時代には無かった、一人の剣士として、充足感に満ちた笑顔!
 おそらく、一人の人間として一番輝いている姿であるのに、見ていて凄く不安になるなあ……。

次回は

 丈瑠対十臓! 馬まで飛び出し、とんだ大勝負の予感!