小太刀右京『マクロスF Vol.4 トライアングラー』

マクロスフロンティア  Vol.4 トライアングラー (角川スニーカー文庫)

マクロスフロンティア Vol.4 トライアングラー (角川スニーカー文庫)

 ノベライズ『マクロスF』最終巻。
 描かれるのは、アルト達とグレイスとの最終決戦。短編もあるよ! なお得な一冊。
 ノベライズならではのオリジナル要素は、最終巻でもたっぷり描かれている。アニメでは少ししか描写されなかった他のマクロス船団のキャラクターも多数登場しているのが特徴。元祖「俺の歌を聴けー!」のあの男も登場ですよ(笑)。
 しかし何よりこのノベライズで一番の見どころは、「主人公してるアルト」だろう。
 アニメではなんかあっちにフラフラこっちにフラフラした挙句、「お前達が、俺の翼だ!」と超時空二股発言で物議を醸しだした(ヲイヲイ)アルト。
 しかしノベライズでは、S.M.Sの脱走に同調せずレオン側につきながら、裏では芸能人時代の人脈を使い、しっかりレオンの悪行を政治家、マスコミにリーク。レオン失脚に一躍買っていたのだ。
 まさに、「大根役者を演じていた一流役者」なノベライズ版アルト。
 その中途半端さはノベライズでは昇華され、男でも女でも無い、神話の英雄の如き高次の存在として戦場の空気すら変える本物の「役者」としての姿が描かれる。凄い……アルトが初めてかっこよく見えた(笑)。
 アルトの価値を再確認する意味でも、是非一読をお勧めする『マクロスF』ノベライズだった。