三雲岳斗『アスラクライン(12) 世界崩壊カウントダウン』

アスラクライン』最新刊。
 一巡目の世界編も今回で完結。
 崩壊を始めた一巡目の世界。一巡目の世界で暮らすかつての友人達。そして、一巡目の世界の夏目直貴から語られた、世界崩壊の「元凶」。さらに嵩月が……。と、クライマックスに向けて怒涛の展開を見せる。
 以下ネタバレ感想。

ついにエロハルへ

 エロゲー的シチュエーションが連続する智春だが、ついに「夏目エロハル」と言うありがたくない称号までいただく事に。
 しかし、
無意識領域で中学時代のセーラ服を着た操緒と遭遇。智春は全裸
と言うシチュエーションでは、もはや何を言っても言い訳にはならない(笑)。
 さらにアニアのベッドにもぐり込んで操緒の名前を呼びながら胸を揉むとか、もうとんでもない事までしてしまっている。世が世なら、訴えられて人生崩壊カウントダウンでもおかしくないのにw

かつての友人達

 非在化を始めた、崩壊寸前の一巡目の世界。しかしそんな世界の中にあっても、かつての友人達は日常を謳歌している。
 樋口、杏、そして紫里。特に、アスラ・マキーナのベリアルドールとして消滅した哀音の元気な姿は特に胸に来る姿だった。
 まぁ、そんな本人は冷凍マグロに乗って登場だけれど(笑)。ちょ、この人予想外過ぎるw

雄型悪魔の失うもの

 これまで嵩月達悪魔は、契約者を得て非在化に抗う力を手に入れる事が描かれていた。
 しかし今回明らかになったのは、雄型悪魔の場合。契約者を持てない雄型悪魔は、契約者の代わりに、魔力を使えば使うほど「愛する者の記憶」を失っていく事が分かった。
 嵩月が父親を嫌っていたのも、氷羽子が除氓ニ組んでいたのも、このリスクが原因だった。
 ここでこの設定が明らかになったのは、やっぱり悪魔になった智春も、愛する者の記憶を失っていく……と言う事なのだろうか。

機械仕掛けの神

 世界をやり直し、アスラ・マキーナを作り、ベリアルドールとして少女を使い捨てにし……。と、これまで数々の犠牲を払ってまで倒そうとする、ラスボスの正体が明らかに。
 それは、人類のブラックホール制御技術を持つ事を防ぐため、何者かによって設置された並行世界を滅ぼす存在。「機械仕掛けの神」であった。
 並行世界そのものを破壊する規格外の存在。それに対抗できるのは、世界を巻き戻した矛盾により発生した規格外の存在、アスラクラインだけだった!
 理論上、魔力を無限大に増幅させる事の出来る規格外の存在が戦うべきものは、まさに規格外の存在だった。

「僕の……契約悪魔(かのじょ)だよ」

 破壊された障テ鐵だったが、同型機の白銀のパーツを使い復活。重力制御に加え、白銀の空間切断を手にいれ、名実ともに鋼と互角の力を手に入れた障テ鐵・改となった。
 だがその代償として、嵩月は命を落としてしまう。だが、完全に非在化する前に死亡したとあって、その死体は保存されたままだが……。
 さらに智春と契約(お付き合い)する事になったため、智春と嵩月は契約関係に。
 これで、智春も、アスラクラインに……? と思ったが、口約束だけなので、適用されるのだろうか……。
 朱里も復活フラグを見せているし、クライマックス目前のまま次巻へ続く!