永尾まる『猫絵十兵衛御伽草紙(一)』

猫絵十兵衛御伽草紙 1巻 (1) (ねこぱんちコミックス)

猫絵十兵衛御伽草紙 1巻 (1) (ねこぱんちコミックス)

 コンビニの単行本の棚によく並んでいる、猫ばかり登場するコミック『ねこぱんち』で連載されている『猫絵十兵衛御伽草子』が単行本に。
 猫絵師・十兵衛と、その相棒である猫又のニタ。お江戸を舞台に、彼らと彼らの周りの人間模様を描く人情話。
 特に印象深く心に残るのは作者の絵。
 人間はさっぱり綺麗な線で。猫はほっこりやわらかく。そんな絵が描ける人が、自分には心底うらやましく思う。
 ところで、漫画を読んでいると一人や二人は妄想の種になるような人がいるのだが、この作品にもそれがいて、それが十兵衛の長屋の隣に越してきた西浦さん。
 若いがクマみたいにでかいお侍のくせに、猫が大の苦手でそれが縁で十衛兵と親しくなるのだが……。何と言うか、その、可愛いな、この人(笑)。
 ゴツいのに猫が苦手、と言うギャップもさる事ながら、そんな自分を情けないと思ってしゅんと落ち込むあの姿ときたら……! ああもうたまらんぜぇ! この猫漫画に降り立った子犬属性めっ(落ち着け)!