たくま朋正『コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー』LAST CODE「ゼロの魔王」(月刊『コンプエース』VOL.037)

ストーリー

 絶対皇帝シャルルは倒れ、エデンバイタル教団は滅んだ。しかし世界は再び混乱に向かいつつあった。
 そんな世界の中、ナナリーとアリス。そしてルルーシュはそれぞれの選択を行うのだった。

第一感想

『ナイトメア・オブ・ナナリー』ここに完結!
 最終的に、本編のストーリー共に「無限にある可能性宇宙のひとつ」と言う世界観に収れんした本作。
 ある意味、すべてのノベライズ、コミカライズを総括して魅せたまさに怪作と呼ぶにふさわしい作品だった。
 以下感想。

再び混乱へ

 シャルルを倒したものの、それですべてが平和になるはずもない。
 本編と違いルルーシュが悪逆皇帝としてすべての悪と罪、そして罰を引き受けなかった世界では、あくまで現実的に、段階的にバックスブリタリアーナの支配を解除していく他なく、当然、それに伴う混乱も発生する。
 これを考えると、本編ルルーシュが、いかに覚悟を決めて悪逆皇帝をやっていたのかが分かると言うものだ。

スザクとユフィ

 ユフィが新たなブリタニア皇帝となった事で、スザクはその騎士となった。混迷する世界の中、ユフィを守るために騎士として仕え続ける事を決めたスザク。
 ああ、あの血染めのユフィの悲劇が無かった世界が、今ここに!

ナナリーとルルーシュ

 シャルルとの戦いの後、自らの道を定めたナナリーとルルーシュ
 ナナリーのワイアードギアス「ザ・ゼロ」によりC.C.は死んだが、彼女が契約によってもたらしたギアスもすべて消えてしまった。そのため、ルルーシュは自ら「魔女C.C.」の役割を引き継ぎ、世界にギアスをばらまくと言う。混乱によって、世界を活性化させるために。
 しかしナナリーは、兄ルルーシュの決意を否定。エデンバイタル=過去と一つになる世界を否定したナナリーは、どれほど時間がかかろうと、ギアス無しで「優しい世界」を作ろうと決意する。
 例え、自らの命がある間にそんな世界が来ないとしても……。
 そんなナナリーの決意を知り、ルルーシュは「魔王C.C.」として不老不死の存在となり、そんな世界を見守る事を決意する。最後の最後に、ナナリーを愛していると言い残して。
 かくてすべての滅びを見届ける「魔王C.C.」が誕生する。そしてその姿は、あの仮面の男ゼロのものだった……。
 本編同様、最終的にすべてを俯瞰する「C.C.」の視点で完結を見せたと言うのが面白いポイント。そしてC.C.と同様、ゼロもまた死ぬ事は無く生き続ける。C.C.もゼロも、どこの世界でも、最終的に孤独ではありえないのかも知れない。

ナナリーとアリス

 神根島の戦いの後、姿を隠したアリス。そんなアリスを見つけ出したナナリーは、アリスを再び騎士とし、アリスもそれを受ける。
 かくして、再び姫と騎士の物語が始まっていく。
 ルルーシュとスザクが互いの死を持って新たな物語を始めたように、彼女達はありのままの姿のまま、新たな物語を始めていく。ルルーシュやスザク以上に過激な仮面に素顔を隠していた二人だっただけに、爽やかな読後感を残すラストだった。

最後のアオリ

 アオリが名物の一つだった『ナイトメア・オブ・ナナリ』。最終話のアオリは……コチラ。

全てを乱し、全てを繋げ!

 最後の最後のまで来て『ディケイド』ネタwwww
 やってくれるぜ!

最後に

 作者様、スタッフ様、お疲れ様でした!
 次回作に全力で! 期待しています!