第46話「終止符・さらば音也」
ストーリー
一九八六年。
キングに立ち向かう渡。だがキングの強さを前に圧倒される。音也は命の危険を顧みず、再びダークキバに変身。父と子二人、キングに立ち向かう。
二〇〇八年。
太牙に反旗を翻すビショップは、これまで倒されたファンガイアを復活させ、ライフエナジーを狩り集める。そんな中、渡は太牙と決着をつけるため戦いを挑む。
第一感想
紅音也、死亡!
サブタイトル通り、音也の退場が情感たっぷりに描かれた。
奔放に生き、愛して、戦って、父親の威厳を最後にこれでもかと見せつけた音也。
「雨の中、傘を差さずに踊る人間がいてもいい。自由とはそういう事だ」
ってな格言(格言?)を地で言った男だった。
以下感想。
恐るべき生命力
ファンガイアのキングも称賛(呆れた?)音也の生命力。これこそ、音也が音也としてある理由そのものだなぁ、と思った。
「生きる力」――と言うのも陳腐だが、音也はそういうものが、他人に比べ、ずば抜けていると思う。
生きる事、遊ぶ事、愛する事、戦う事、そして父としてある事――。どれもこれも言葉だけ聞いていれば酷く適当なその場限りのものに聞こえるのに、それに力を感じるのは、音也の生命力の成せる技なのだ。
最初で最後の親子の仕事
命を削ってダークキバに変身した音也。音也と共に戦う事――それが命を受け継ぐ事だと悟った渡は、音也と共にキングと戦う!
親子共演は『キバ』で一番盛り上がる所なので、もう見ていて大興奮。最後の決め技がエンペラームーンブレイクとキングスバーストエンドのダブルキックと言うのも心憎い。
キングの最後
最後の最後で、身も世も無く真夜への執着を見せたキング。道連れにしようとするが、その直前、太牙にキングの力が移り、その目論見は失敗。「太牙が渡を倒す」と言い残し、散華する。
しかし、自分の息子に最後は目論見を外されたと言うのに、それでも太牙が復讐すると言うのは、ある意味凄い。キングもキングで、その役割の中で真夜と太牙を愛していた……のかも知れない。
音也とはまた違った、父親の最後だった。
生きていく方法
「他人の音楽を守る」「大切なものを守るため強くなる」「父と共に生きる」――。
これまで渡は、戦いの中そう言った事を学んできた。だが、最後にどうしても分からない事がある。それは、「どうやって?」と言う最大の問いだった。
マンガやアニメのような二次元の世界に傾倒する人間は、ある一定数、どうしてもここでつまずくと思う。他人を守る? 強くなる? 一緒に生きる? 言葉にすると綺麗だが、でも、それって一体どうすればいいのか? 何をすればいいのか? それが分からなくて困って、立ち尽くしてしまう。
でもそれを、音也はお手軽に渡に教えない。「甘えるな! 自分で考えろ!」と一喝して、父親らしく理不尽で大きな壁のまま、消えていく渡の前であり続けた。
結局、「どうすれば」で立ち尽くす人間は甘えている、と言う事なのだろう。そこは圧倒的事実であるから認めざるを得ない。また、音也が簡単にそれを渡に教えたのでは、渡は単なる音也のコピーになってしまう。それは、本当の意味で渡が自身の音楽を奏でているとは言えなくなってしまう。
四六話もかけて渡はようやくスタートラインから走り出したような、そんな気がする。
毒の愛情
ゆりとの最後の別れを交わす音也。
最後の最後で、愛情を「毒」と言うゆり。やはり、音也はゆりにとって必要不可欠な存在なのだったのだろう。でもこの別れがあったからこそ、呉服屋でも笑顔だったんだろうなぁ、と分かる。
音也との約束
キングもクイーンも失って暴れるキャッスルドラン。次狼達三人が再びドランに戻れば、あるいは制御が可能かも知れないが……。
そう言う次狼に、そうするよう言って、息子を助けるよう約束を交わす音也。
二人の眼で語る演技は、あらゆる言葉を封じ込める迫力だった。二二年の歳月守られ続けた約束にふさわしい重みだった。
……しかし、「素晴らしき青空の会を守る」って約束は一言も交わされてないのね(笑)。
さらば音也
最後の最後、音也は真夜に寄り添って逝った。真夜に自分の音楽を残して……。
音也の死が感動的だとか、そういうのではなく、最後にバイオリンを弾いて、愛した女に寄り添って死んだ……って言うのは、とても音也らしい、と感じた。
まぁ、それより死んだ時は西暦何年の何月なんだ? と、そういう時間軸的な事の方が気になってしまったが(笑)。
あの時すでに、真夜のお腹には渡がいたのだろうか……。
反逆のビショップ
倒されたファンガイアを復活させ、ライフエナジーをさらに集めるビショップ。
これ見よがしにファンガイアを暴れさせる横で、警官に偽装させたファンガイアを使役するなど、狡猾な面も見せる。
あくまで「チェックメイトフォーのビショップ」にこだわっているようで、今回の太牙への反逆も、「新たなキング」のためにやっているらしい。最後の最後まで役目を全うする……。まさに、『キバ』で打倒されるべき「悪」そのものだ。
「もう一枚ある」
名護が相変わらずで吹いたwwwww
しかしビショップとの戦いで目を負傷し、名護にも大きな見せ場が迫る予感!?
一皮むけた渡
音也の魂に触れ、一皮むけた渡。眼力だけでファンガイアをたじろかせるなど、ある意味、ファンガイアの血が濃く出たような成長だった。
兄弟対決
深央の死に対し、それぞれのスタンスの違いが興味深い兄弟対決。
太牙はキングとして、さらに純化していこうとし、渡は「二人のキング」と言う矛盾そのものを破壊しようとしているように見える。
甘ったるいのは太牙だけ、になってしまった兄弟対決。果たして二人の行く先は。
次回は
わ、渡がファンガイアのキングに!? また渡は、妙な方向に弾けちゃって……!