第42話「パワー・オブ・ラブ・王の怒り」

ストーリー

 一九八六年。
 イクサに変身しダークキバに挑む音也だが一蹴され、連れ去られてしまう。ゆりは音也を助けるため、真夜に助力を乞う。
 二〇〇八年。
 立ち直った渡の姿に、嶋も態度を軟化させる。だが、そんな嶋に対し、太牙はサンゲイザーファンガイアを刺客として送り込むのだった。

第一感想

 ああ、やっぱり音也イクサはアバンでやられてしまった……。
 例えライジングイクサであっても敵わない事は分かっているのだが(サガにもやられていたし)、せめてもう少し、もう少しだけでも見せ場があってもいいんじゃなかろうか……。
 以下感想。

音也の処刑

 音也を連れ帰り、キャッスルドランの餌にしようとするキング。わざわざ一撃で殺さずなぶり殺しを選択するあたり、もはや隠しようのないジェラシーの炎を感じさせる(笑)。
 しかし、キャッスルドランにはあんな部屋もあったとは……。キャッスルドラン、恐ろしい子! 一昔前の児童雑誌なら、断面図で詳しく解説されている所だ。

ゆりと真夜

 キングの圧倒的強さを知っている真夜は、音也を処刑しようとするキングを止める事も出来ない。しかしゆりは、無謀と知りながらも一人音也を助けようとする。
 例え、音也の愛が彼女自身に向いていないと分かっていても、ゆりは音也に対する愛を裏切る事が出来ない。そんなゆりの態度に影響を受けたのか、真夜も彼女に協力し、音也救出へ向かう。
 初めは愛が何なのか理解できなかった真夜だが、音也だけでなく、ゆりの愛を目の当たりにする事で、本当の意味での愛に気がつき、それが現代編へと続いていくと言う事か。そしてゆりも、笑顔で恵達を育てられるようになった……と考えれば、二人の奇妙な共同戦線の価値は非常に大きい。
 しかし、ランボーみたいな格好したゆりとゴスロリ風味の真夜の二人の組み合わせって……シュールだなぁ(笑)。

迷いの森

 キャッスルドランが、普段眠っているだけの場所……と思いきや、何と侵入者は森の中では変身不能。しかし番人は変身オッケーと言うチートの森だった(笑)。
 基本戦術としては、侵入者の変身を封じる→番人やダークキバの力で一掃、と言う流れなのだろう。さすがファンガイアの王族が住まう森だけあり、セキュリティもばっちりだ。
 ところで番人であるシルクモスファンガイアが持つ槍は、その、レジェンドルガのロードが持っていた槍では(笑)?

暗殺計画実行中・深央

 太牙暗殺計画を着々と実行中の深央。まずはクイーンとして裏切り者の処刑。さらに太牙と結婚の約束を交わす。「油断させておいて殺す」。ああ、何とも王道作戦である。しかし真夜や太牙への態度を見るに、微妙に罪悪感はあるようだが……。
 ここまで黒い態度と、それに対してのわずかな罪悪感を見せられると、もう深央を待つ運命は「死」そのものでしかないような気もしていた。
「渡の母親」、「ダークキバの鎧を守る」と言う現代編での重要なファクターを持つ真夜と違い、ここまで他人を自分の都合で殺そうとすれば、「死」を持ってしか綺麗な終わりは迎えられない気もするのだ。
 求婚されて満面の笑みを浮かべる太牙が切ないぜ……。

今週の主役は嶋

 現代編における今回のエピソードの主役は、間違い無く嶋。渡? あんなの適当に落ち込ませて復活させておけばいいんですよ! と言う主人公は横に置いておいて(何て言い草だ)。
 彼の共存に対する失望。共存に対するかすかな希望。そして自らがファンガイアに変化してしまったと言う圧倒的なドラマは、ある意味で渡の比では無い。
 彼が自ら作り、渡にふるまったオムライス――かつて音也も好きだったそれ。ファンガイアの血よりも、奔放に生きた音也の血を信じたと言うメッセージがそこにある。
 ファンガイアよりも人間を信じた姿を見た後だけに、嶋自身がファンガイアになってしまった事は恐ろしいインパクトだった。嶋、まさかの次週退場か!?

キバ対サガ

 ついに両者の望まない、しかし宿命の異父兄弟対決がここに!
 父母から愛も音楽もキバの鎧と、十分すぎるほど受け継いだ渡。愛も鎧も受け継げず、ただただファンガイアの王と言うレールにすがるしか無かった太牙。悲しすぎる兄弟対決の結末は?

次回は

 嶋の結末は? そして音也の運命はいかにって所で続く!