三雲岳斗『ダンタリアンの書架(1)』

ダンタリアンの書架1 (角川スニーカー文庫)

ダンタリアンの書架1 (角川スニーカー文庫)

感想

ザ・スニーカー』で連載されている『ダンタリアンの書架』が文庫化。新キャラ登場の書き下ろしも多数。
 古今東西の様々な魔導書、奇書。それら人間の知るべきでは無い知識すら記した本――「幻書」を巡るミステリー仕立てのダークファンタジー
 人間の知るべきでは無い事を知った結果、どんどん歪んでいく現実。
 例えば、最高の美食とは何か? 本当の「叡智」を手に入れた結果、人はどうやって生きていくのか? などを、青年ヒューイと読姫ダリアンを通じ描かれていく。
 キャラクターよりも「幻書」と言うガジェットを優先した短編連作で、その後味の何とも言えない悪さが魅力的だ。
 また、人間に知識を愉快犯的に与えるもう一人の読姫。さらに書物の敵と言えばコイツ! と言わんばかりの「焚書官」とその相棒たる壊れた読姫のもう一人のコンビの登場と、次巻への伏線はしっかり張ってある。
 特に焚書官の攻撃方法が恐ろしくもったいなくて震えが走る。おまッそれ燃やすのはもはや犯罪通り越した害悪だよ! もったいなッ。