ファイル09-C「高輪のプリンセス」
日本私設警察の工作員によって連れ去られたもなみが泉田の元に駆け込んでくる。しかも、短期間のうちに明らかな成長を見せて……。
涼子、由紀子らと共に改めて今回の事件を洗いなおしていく泉田。そんな時、またももなみが瑠璃子のスパイに連れ去られる。
第一感想
美女と美少女に囲まれて朝食を……泉田の野郎、なんて幸せ者だ!……と素直にやっかんでいいのか悪いのか、評価に困るメンツだなぁ(笑)。
何か状況自体は幸せなのに、反比例して胃が痛くなるようなプレッシャーを感じるのはどういうわけか。
それはともかく以下感想。
帰って来たもなみ
瑠璃子にさらわれたもなみだったが、何と自力で脱走! しかも、明らかに成長した姿で……。
十代後半ぐらいの姿に成長したもなみが真っ先にやって来たのは、泉田の所。もなみの中での、泉田への好意がどれほど大きいのか分かる所である。
しかし瑠璃子的には、この脱走も計算のうちだったのかも知れない。ちゃんとサイズが合う服があると言う事は、成長した後の行動も予測の内にあったと言う事であるし。
と言うか、あの誘惑は成長しすぎです(笑)。
石動瑠璃子
涼子その祖父と、元軍人を集め警備会社を隠れ蓑に日本を再武装化しようと終戦間近目論んでいた瑠璃子。しかし涼子の祖父との別離をきっかけに、その目論見はご破算に終わる。
これが理由で、薬師寺一族を恨んでいるらしい。
しかし驚くべきは、その若さ。何と瑠璃子、終戦間近から六〇年近く経っているのにまったくビジュアルが変わっていない! 一体どんな怪奇を用いて生き長らえているのやら……。
整理された謎
野長瀬曰く、泉田と涼子の愛の語らい(笑)により、明らかにされた謎は四つ。
もなみの秘密
泉田と涼子、二人の会話を盗聴し、二人の関係に悩むもなみに甘言を囁いて瑠璃子の元へと連れ出す野長瀬。これだけ見ると完全に瑠璃子側のスパイだが、実は二重スパイでした、何てのもありそうな予感だ。
とにかく、ここでもなみの秘密が明らかになる。
西行法師が行ったとされる反魂の術。『撰集抄』に記載された「返魂術」とは、
「広野に出て、人も見ぬ所にて、死人の骨をとり集めて、頭より足手の骨をたがへでつゞけ置きて、
砒霜と云薬を骨に塗り、いちごとはこべとの葉を揉みあはせて後、藤もしは糸なんどにて骨をかゝ
げて、水にてたび/\洗ひ侍りて頭とて髪の生ゆべき所にはさいかいの葉とむくげの葉を灰に焼
きてつけ侍り。土のうへに畳をしきて、かの骨を伏せて、おもく風もすかぬやうにしたゝめて、二七
日置いて後、その所に行きて、沈と香とを焚きて、反魂の秘術を行ひ侍り」
と言うもので、蘇った人間の中には貴族に列せられた者もいるとされ、西行法師を驚かせた。
瑠璃子は西行法師に術を伝えた貴族の末裔であり、その反魂の術に現在の最新クローン技術を組み合わせ生まれたのがもなみだと言う。
だがこれだと涼子自身にそっくりな事に対する説明がつかないような……もしかしたら、涼子の祖父の骨から作った、とかそういう事なのだろうか。
この理屈で行くと、瑠璃子自身もすでに死者であるのかも知れない。
次回は
今回の次回予告は、かつて泉田が結婚前提に付き合っていたと言う女性について。
ダイエットしている彼女に、無神経な発言をしたために別れる事に。ちなみに、彼女の方は幸せにやっている、と言う設定です(笑)。