第22話「静かなる海」

 久島が行方不明となった。久島を探し、ソウタはホロンと共に人工島を奔走する。波留はメタルの中から久島を探そうと無理なダイブを行い、ついにはブレインダウン寸前にまで陥ってしまう。

第一感想

 ホロンが大変な事に……!
 そして久島の波留好き度はもはや愛。いやほんと変な意味じゃなくて。
 以下感想。

久島の脳殻

 行方不明になった久島。しかし正確に言えば、行方不明になったのは久島の脳殻だった。
 これも義体化設定が成せる技で、体はあくまで脳の乗り物。人間のすべては脳にある。そう思わせシーンだった。しかしまあ、なんともシュールな……。

ジェニー・円と書記長

 気象分子プラントを否定する邪魔ものがいなくなり、ほくそ笑むジェニー・円。自らも軍用義体に体を変えており、戦闘能力も高そうだ。 
 一方書記長は、強引に攻めてくるソウタに根負けしたように情報を渡す。ホロンに対する感情や、まだソウタに未練がありそうな描写もこれから見逃せない。ホロンのAIが初期化されてしまった事で、再びヨリが戻ったり……はさすがに無いか。

ソウタとホロン

 ともすれば感情に走りがちなソウタを押しとどめるホロン。しかしそれは「機械」故の冷たさでは無く、限られた時間の中で事を成し遂げるために、あえて冷静になろうとする者のそれに見える。すっかりホロンにも感情があると自分自身思ってしまっていた。
 それだけに、ラストでホロンのAIが初期化されてしまったのはショックの一言。もう誰も身につける事のないインフィニティが空しい……。

波留と……

 久島をメタルから探し出すため、無理なダイブを繰り返す波留。バディのミナモの警告も無視した挙句、ついにはブレインダウン寸前にまで……!
 しかしそこを救ったのは、「お隣さん」のドリームブラザーズの兄弟だった。企業に雇われ、一攫千金を狙うハイエナダイバーが大量発生する中で、彼らは波留への義理人情で手伝う義侠心を見せる。
 ミナモが彼らを呼んできた事で波留は救われた。良くも悪くも久島絡みでは平静でいられない波留だけに、この処置は好判断。この機転もミナモがバディであるが故の長所だろう。

久島の苦悩

 ついにメタルの海で久島を発見した波留。その記憶は、波留を見守る久島の姿だった。
 波留にとってはほんの一瞬でも、現実では数十年も経過している。その間、老いを見守り、義体化同意書にサインしたのもすべては久島だった。久島が波留のために苦しんだ記憶。決して明かされる事の無かった記憶を知った時、波留はどう久島と接していくのだろうか。