『コードギアス 反逆のルルーシュR2』TURN 20「皇帝 失格」
ナナリーを、ロロを、そして黒の騎士団までも失ったルルーシュ。すべてを喪失したルルーシュは、我が身と引き換えにしてでも皇帝を討つべく、神根島へ向かう。
一方シュナイゼルは、戦争を俗事と断ずる皇帝をその資格無しと判断し、クーデターを決心する。皇帝の暗殺者として志願したのは、ラウンズとして謁見の許可を持つスザクだった。
第一感想
皇帝との決戦開始!
ある意味で、現実対非現実の構図とでも言い表わせられるか。
戦争、痛み、悲しみ、それら全てを俗事と断じ「神殺し」に浸る皇帝。
そして、それらを血肉の通った意志ある痛みと受け止め、過去と未来のために戦うルルーシュ、スザク、そしてシュナイゼル。
しかし皇帝との決戦の舞台はあのCの世界(でいいのか?)。眼前に立つのはスザクでは無くルルーシュ。
結局、最後はどちらも非現実な力を持つ者同士になってしまったなぁ……。ルルーシュの理由付けは十分ではあるし、スザクでは感情移入はし辛いし、まぁ、色々あるんだろうけど……。それにしては、スザクがちょっと不憫すぎません? いや、真面目な話。
以下感想。
ナレーションはスザク!
今週のナレーションはスザク。その口から語られるのは、あまりに幼く衝動的だった父殺しの業と、「人間同士が殺しあう状況を止めたかった」思いのみ。
……ふと思ったのだが、スザクってどちらかと言うと皇帝よりのキャラクターなのかも知れない。皇帝の「嘘」をスザクの「美学、誇り」に変換すれば、ほらピッタリ?
衝撃のニーナ
ニーナは、スザクに「悪くないよ」と言って欲しかったのかも知れない。と、ふとあのショックの受け方を観て思う。
いつもはキツイ事言ってる相手だけに、相手の性格を分かっていて、あのタイミングで話を振ればいつものような口調で慰めてもらえるかも知れない、と。
でもその時のスザクは、まるで開き直ったかのように見える態度で、フレイヤが大量殺戮の道具として大勢の命を奪った事。スザク自身が撃った事。その結果「我が」ブリタニア帝国に勝利をもたらした事を冷静に指摘する。事実は事実。そういう事だし、それだけの事。
しかし、知らなかったじゃすまされない。それを実感したニーナはもう何度目かのショックを受ける他ない。嫌いなキャラじゃないだけに、彼女に足りなかった「中身」で何とか立ち上がってもらう事を期待しよう。
アーニャの真実
これまで謎だったアーニャの真実が明らかに。それは、
- やはりアーニャ=マリアンヌ。
- さらに、C.C.からギアスを与えられたギアス能力者であった。
- しかし契約不履行者である。
- Cの世界に自在に干渉できる。
の四つ。
アーニャが「記憶が飛ぶ」と表現した間に、マリアンヌの意思が表出している。基本的に、アーニャとマリアンヌは別人格なのだろう。とすると、なぜアーニャにマリアンヌが「いる」のか? と言う事だが……。
これは、Cの世界が影響しているのではないだろうか。記憶を自由自在に操れるあの世界の機能を使えば。自分の人格を別の人格に植えつける事も可能かも知れないし。その齟齬への対処として、皇帝の記憶を操作するギアスをかけているのだろう。
しかしこのマリアンヌ、誰が想像できたであろうかこの性格。滅茶苦茶性格悪いんですけど!?
あのC.C.のペースすら乱すわ、演技は巧いし頭も回る。おまけに、割と息子に対して情も薄い。物言いを見る限り、皇帝サイドのようだが……?
この状況下で記憶が戻ったC.C.と行動を共にする事でどうなるのか予想もつかない所。せいぜい、Cの世界でのルルーシュと皇帝の親子喧嘩に乱入するくらいだろうか?
……あ、モルドレッドで(笑)?
ゼロの死
シュナイゼルからギアスの事を聞かされ、ゼロを追い出した黒の騎士団。「利用できるだけ利用すればいい」だとか「扇らは馬鹿か」と言う意見はよく聞くが、もうそういう状況じゃないよなぁ。
そも「リーダーが部下を駒のように操れる力を持っている」と分かった時点で、組織は終わったも同然だよなぁ。
比喩じゃなくてそれが本物だと分かっているならなおさらで、今ここで追い出さないと逆に組織が終わる。何せ知っているのが幹部だけに、それは組織の中枢が病気になったと同義だ。とっとと切除しないとすべてが侵される。ディートハルトも言ったしゼロ本人もそれを利用したから分かるが、「ゼロは記号にすぎない」なのだから。
しかし、そんなごまかしも神楽耶や星刻の前で通じるわけもなく……。
ううむ、やはり扇には攻勢は向いてない。せっかくヴィレッタとドキドキ☆新婚生活が迎えられそうだったのに……(ヲイ)! 頑張れ扇! 新婚生活はもうすぐだ(黙レ)!
ランスロット・アルビオン
OPで登場したランスロット・アルビオンの名前が、本編でも名前だけ登場。
何とランスロットの強化バージョンではなく、スザク専用騎として作られたランスロットであるらしい。『R2』では第七世代としては最古になっていたランスロットだったが、これを聞いてちょっと安心。あの無敵なランスロットが帰ってきそうな予感プンプンである。
皇帝との対決へ
アーカーシャの剣に没頭する皇帝を、ついにシュナイゼルは皇帝失格と断じ、その暗殺にスザクが志願。さらにルルーシュも皇帝を殺すため神根島へと向かう。
決戦へと向かう少年達だが、両方とも痛々しいと言うか、「オイオイ」とツッコむべき所が満載だ。
ルルーシュ
ルルーシュは思いっきりギアスを使用。しかも、ギアスのかけ方がスザクにやられた時と同じ。お前、そんなにあの時の事を根に持っているのか……。あとルルーシュの歩いて行くシーンでサザーランドがランスでアーチを作っているのは、多分お国柄なんだろう。搭乗者が勝手に道を作っているんだろうなぁ。
あれでルルーシュが「私が歩いている時はサザーランドでアーチを作れ!」とか命令していたら笑うを通り越して殴りたくなる(ヲイ)。
スザク
先週の大笑は開き直った証しだったらしい。「過程よりも結果」を叫び、ナイトオブワンとなるためにシュナイゼルを皇帝にするため、皇帝暗殺を進言する。
ルルーシュと違ってその姿が痛々しいのは、やはりスザクの本質がそこにないからだろう。ビスマルクの言う通り、スザクの強さは「優しさ」にあったのだ。それを捨ててしまった、ように見えるから、何だかその姿が痛々しいのだ。
ルルーシュのギアスのせいか、「自分の意思」と「目的」をしっかり持とうとしているようにも見える。それを押し出した結果が、ああなのか。
しかし、シュナイゼルを皇帝に推すのは、それが最も少ない数の犠牲で平和になる方法であるし、皇帝を暗殺するのに志願したのも、せめてユフィやルルーシュ。ナナリーの絶望を知る人間が殺さないと〜と思っているからなのだろう。
スザクの絶望が晴れ、再び白き騎士が覚醒する時は来るのだろうか。
人の本質
シュナイゼル曰く「人は支配されたい生き物」だと言う。そして権力者はその権威を持って、人が望むものを演じなければならないとも。
これは実はすごくルルーシュやスザクの本質、はたまた実生活まで及ぶ言葉だと思う。
ルルーシュやスザクは、「撃っていいのは撃たれる覚悟がある奴だけだ」とか「黒の騎士団」だとか「ルールを変える」だとか、反逆しながらも、自分の作ったルールに縛られて生きている。そして、他者や自分の望むゼロや、枢木スザクを演じてきた。
例えば「本当の自由」なんてあったとしても、それだけで生きていけるはずもない。衣食住にそして金。他者とのコミュニケーション。そして自意識と、人は色々なものに縛られて生きている。
言い換えるなら、誰だって、何でもいいから、縛れないと(寄る辺がないと)生きていけない。
それをあまりに長く無視した時、それが王なら追い落とされる。ある意味、先週のルルーシュと同じ事だ。
果たしてシュナイゼルは、このままさっくり皇帝になれるのだろうか。まだまだどんでん返しが待っていそうだが……。