#19「トライアングラー」

 ランカの活躍によりフロンティア船団は窮地を脱した。これを記念して、アイモ記念日と言う祝日が制定された。だが、そこに主役たるランカの姿は無い。ランカはブレラと共に、姿を消したあい君を探していたのだった。
 歌う事に疑問を感じていたランカは、ブレラから「何のために、誰のために歌うのか?」と問われる。ライブの中、それがアルトのためだと確認したランカは、アルトへ想いを伝えるため走るが……。

第一感想

 これでようやく追いついた!
 やっぱり『トライアングラー』は名曲だ……! と言うか、その名曲の使い方が巧すぎる……!
 ラストですっかりスタッフに踊らされてしまったのだった。
 以下感想。

あい君

 あの名前って「アイ君」じゃなくて「あい君」だったのか……! いや、そんな事はどうでもいいのだが。
 突然ランカの下から逃げ出してしまったあい君。その正体は、あのバジュラの幼生だった! あのちっこいのがどうやってあのごっついのに!? と驚愕を違う意味で禁じえないが、よくよく考えれば生き物ってそういうものか。あの可愛い赤ん坊が、人生の終わり際になれば……いや、言うまい(何だお前は)。

ミハエルとクラン

 ミハエルはアルトに。そしてクランはシェリルに対してアシストし、恋愛の先輩(?)としてそれぞれを導いた二人。
 結論から言えば、それが「良かったか悪かったか」で言えば「悪かった」のだけれども……。それはやはり結果論で、あの時、やはりああしてしまっただろう。それは誰にも責められる事ではない。
 ミハエルが二股・三股当たり前、なのが姉の事、パイロットの事などが枷となり、本気になるのもさせるのも怖かった、と言う弱みも明らかにされ、ここにきて俄かにミハエルがいい奴に……!
 いや、最初からいい奴だったのである。さりげなくみんなに気を配ってるし。今回もルカに対してさらっと力になると言ってたし。うん、かっこいいよ、ミハエル。そりゃクランだって本気になっちゃうよ! はっはー! はーっはっはっは……はーあ……orz

レオンとグレイス

 手を組んでいた二人。その片割れ、レオンがついに大掛かりな動きに出る。それは何とクーデター。オズマとキャシーに証拠を突きつけられながらも、すでに大統領暗殺と言う一手を先んじて打っていた。
 一方で、グレイスはついにクイーンの謎を解明したらしい。あの物言いから、何らかの大儀、と言うよりもマオやランシェへの対抗心、優越感などが先行してるように見える。だがその中にはあの大勢の人格が存在していて……。グレイスの謎は尽きない。

ようやくのルカとナナセ

 よ、ようやくルカとナナセの(と言うかルカの)恋に進展が……? と思った矢先にー!?
 ルカ……かわいそうな男(ヲイ)。

何のために、誰のために

 ラストのトライアングラー展開が恐ろしいほど衝撃的なのは、この問いかけが三人それぞれに重要な意味があるからだと思う。
 アルトのはオズマからこう問われた。しかし結局、その問いには答えを出す事もできず、答えを保留しているだけ。そして未だに、早乙女の家に縛られている。
 シェリルは、自分のために。あのスラムに戻らないために歌っていたはずだ。だが自分の努力や幸運はすべてグレイスに演出されたもの。その理由は地に落ちた。だが、まだアルトと言う拠り所が残っている。シェリルはランカの想いをちゃんと理解していて、自分の状況もよく理解している。でもだからこそ、アルトが、支えが必要なのだろう。グレイスに拠らない、彼女だけの支えが。
 そしてランカは、この問いに明確な答えを出した。不特定多数の「みんな」のためではなく、「アルト」ただ一人のために歌う。なぜなら、ランカはアルトの事が好きだから。
 そうやって一人明確に、鮮烈なランカが最後にやって来るからこそ、あのラストは衝撃的だったのだと思う。
 これをアルトがどうにかしようとするならば、アルトにとっての答えを見つけるしかない。何のために。誰のために。パイロットとして戦うのか、あるいは歌舞伎役者に戻るのか。保留してばかりのアルトが答えを出した時が。このトライアングラーの終焉となるはずだろう。