第24話「皇帝・ゴールデンフィーバー」

 一九八六年。
 次狼にやられ、川に投げ込まれた音也。しかし偶然近くを通りかかった伸二と涼子の二人に助けられ、事無きを得る。一方、ゆりは次狼に連れ去られてしまうのだった。
 二〇〇八年。
 涼子は回復の見込みの無い病により、入院していた。伸二はそんな涼子のために、宝石を盗んで回っていたのだ。それを知った渡は、二二年前、二人が植えた合歓の木の所へ、深央が運転する車で連れて行くのだった。

第一感想

 エンペラーフォーム、登場!
 二四話と、劇場版を前に最強フォームの登場とは予想外。これまでは「劇場版で最強フォーム登場」が基本だったので、これは意外だ。むしろ、劇場版ではエンペラーフォームよりも父子競演がメインになりそうではあるが。
 しかし、タツロットが……その、何だ。軽いです(笑)。そしてキバットも存在を知らなかったって……それでいいのかキバット族!
 以下感想。

助かった音也

 ガルルに散々痛めつけられ、川に投げ込まれた音也。普通、死ぬ。だが、音也である。ストーリーがどうとか言う前に、音也が死ぬはずがない! ってわけで生きてました、この男。しかもケロリとしてやがる(笑)。
 伸二と涼子に助けてもらい、医者にも診てもらっただろうとは言え……。まぁ、音也だからいいんだけど(苦笑)。

音也・ドン・キホーテ

 伸二=グリズリーファンガイアを粛清するために現れたクイーン=真夜。
 ここで殺されるわけにはいかない。逃げ切るために、ファンガイアとしての姿を現す伸二。だが、それを真夜がファンガイアに襲われていると勘違いし、音也は自転車でグリズリーファンガイアを追い払うのだった(苦笑)。
 まるで、風車に戦いを挑んだドン・キホーテのように滑稽な姿。実際の所、グリズリーファンガイアは恩人で、真夜の方がファンガイアにすら恐れられる怪物であると言うのに。……まぁ、ある意味で音也が伸二に恩を返した、と言えなくも無いが。
 あきれ果てられ、おまけに仕事を邪魔されて、真夜のビンタを頂くハメになった音也。しかし音也がこんな事で懲りるはずも無い。むしろ、殴られたと言う強力な「縁」ができた事で、音也はさらに暴走する!

「もう一度お願いします!

 って、ちょ、お前wwwwww

次狼が選んだ音楽

 力……失恋(真っ先にソレ!?)。ソレはさておき。
 音也を殺し、ゆりの心を手にしたと思った次狼。しかしゆりの心は、次狼が思っているよりもずっと音也に惹かれていた。業を煮やした次狼は、ゆりを山奥に連れて行き、拘束し、二人きりになってしまう!
 じ、じじじじ次狼さーん!? 何血迷ったのか一瞬目を疑った。おまっ、その愛の巣はねーよ(そこかよ!)!
 根っこがモンスター、と言う以前に狼だよ。野生の獣だよ。よくよく考えると野生の獣でもそんな所に巣を築くはずも無い。ある意味、愛に狂った知的生命体のみに許された暴挙だ……。これが昼ドラだったら、確実に放送できない事になっていた……!
 そんなゆりを助けにやってきた音也。当然返り討ちにする次狼=ガルルだったが、そんな音也をゆりがかばう。手に入れられないならいっそ、と殺そうとするガルルだったが、殺す事ができなかった。人間の姿に戻った次狼は、もうゆりの愛が音也にあると知ってしまう。
 次狼の愛は歪で、しかし情熱的だった。手に入らないとなれば、殺そうともした。だが殺せなかった。何だか、どこまで本気が自分にはいまいちピンとこなかったのだが、次狼はゆりを確かに愛していたのだろう。 例え音也のものになったとしても、ゆりの音楽を消す事が次狼にはできなかったのだ。
 ついに失恋した次狼。だが、ここから「音也との約束」、そして「アームズモンスター」へと至るまでに、愛を失った次狼に何が起こったのかが描かれていない。失恋したって、まだまだ長い人生は続くのが切ないナァ。

二二年の時の流れ

 指輪一つ買ってやれなかった二二年を過ごした伸二。涼子は不治の病にかかり、今にも命を失いそうになっていた。そんな彼女のために、伸二は宝石強盗を繰り返した。
 クイーンに怯える生活。ファンガイアとしての本性を隠し通す日々。逃亡者生活の苦労は、彼を一目見れば分かる。他のファンガイアが「狩場」を作って派手にやっているのに対し、彼がそんな目立つ事をすればたちまちクイーンに見つかってしまう。
 おそらくロクにライフエナジーも摂取できず、普通の人間として暮らさなければ無かった、そんな苦労がにじみ出ているように見えた。その結末が、これと言うのは……。
 それでも最後に、ファンガイアとしての自分も受け入れられていた事を知り、合歓の木の下で一瞬でも一緒にいられた事は幸せ、と言えた事なのだろう。
 異種族との愛の基本は悲恋とは言え、可哀想すぎる……。

KY名護

 ……最高に空気の読めない男、参上!
 おまけにイクサ、グリズリーファンガイアにフルボッコ。おそらく、戦闘能力自体は互角なんだろうが、涼子を喪ってヤケになったグリズリーファンガイアの戦闘能力は通常よりもずっと上がっていたのだろう。
 ああ、よかった。そこは空気の読める男で。そこで勝っていたら、名護は最高に空気の読めない男・略してSKYと言われるハメに(言われません)。

皇帝の目覚め

 深央を傷つけられた渡=キバ。その感情に反応し、キャッスルドランの中にあったタツロットが目覚め、飛来。全身のカテナを外し、キバ・エンペラーフォームが誕生する!
 金色のボディ。赤いマント。右足に封印されていた魔皇石が胸部に露出。キバの紋章そのものとなったマスクのデザイン。そのゴージャスさはまさに皇帝。「ファンガイアの皇帝が身にまとう鎧」と言う設定にふさわしい存在だ。
 しかし、一番の謎はキバットタツロットの存在を知らなかったのに、ガルルがその存在を知っていた事だ。普通、キバの鎧を制御するキバットが知っているのが普通だろうに……。
 この「皇帝の鎧」に関する事が、キバットも知らない(かも知れない)ガルルの「音也との約束」……なのだろうか?
 まぁ、スジから言うと、普通チェックメイトフォーのキングが身に纏うものなのだろうし。この「キバの鎧」。クイーンの息子である渡が纏っているのは、ちょっとおかしいのが現状だ。
 普通知っておくべきキバット(族)にタツロットの存在を知らせる事のできない事情、と言うのが……あったのかも? と妄想しておこう。

二つのカップルの始まりと終わり

 音也とゆり。二人は次狼と言う障害を乗り越え、ここに自分と互いの思いを確認しあった。伸二と涼子。最後は悲しい終わり方であったが、ある意味「二人共に死んだ」と言う点では、ある意味で美しい終わり方だったのかも知れない。
 だが、音也とゆりは結ばれない。結局、音也は真夜と一緒になって渡をもうける。ゆりはゆりで、恵をもうけている。
 実は渡と恵が異母兄弟だった! ってオチを無視すると、結局、音也とゆりが結ばれる事は無い。これから描かれるのは、二人が離れ、互いに違う伴侶と結ばれる過程だ。
 結局、人同士であっても片方が異形の怪物であっても、色恋に関して誰もが納得できる終わり方なんて存在しない……と言う事なのかも知れない。

女王の目覚め

 クイーンと言うものは、世襲制ではないらしい。その「力」と「称号」が、別の女性にランダムに受け継がれていくもののようだ。
 もしかしたらチェックメイトフォー自体そういうものなのかも知れないがクイーンと言う特殊な役割を見れば納得か。誰がクイーンか分からない。その恐怖が無ければ、処刑人としてやっていけないだろう。もしも世襲でクイーンが決まるなら、その一族を根絶やしにするとか過激な方向に流れる者もいるだろうし。
 そして、何と深央がクイーンとして目覚めてしまった。深央が「何かある」キャラクターであるのは描写されていたし、そうだと思っていたが、まさかクイーンだったとは……。嫌なお約束は的中。
 当然、人間とファンガイアの混血児である渡なんて、存在そのものが許されるはずも無く……。
 無敵の皇帝の力を手に入れた渡と、クイーン・深央との宿命の戦いが始まる日も、近い。

次回は

 新たなチェックメイトフォー、登場? そして音也とゆり。渡と深央。二つのカップルの運命は?