賀東招二『フルメタル・パニック! せまるニック・オブ・タイム』
せまるニック・オブ・タイム―フルメタル・パニック! 10(富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 賀東招二,四季童子
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2008/02/20
- メディア: 文庫
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以下感想。
宗助とテッサ
今回印象的だったのが、この二人だった。宗助とかなめの仲がすでに鉄板となったが、この二人の関係が切れるわけでは当然無い。
アマルガムに一度は敗走を余儀なくされ、ミスリルを再び再結集させたテッサには、すでに一指揮官を超えたカリスマまで備わっている。当然そこに圧し掛かる重圧も半端なものではなく、テッサに余裕はなくなっていた。
それを前回レーバテインと共に復活した宗助が、テッサに声をかけ、その重圧に潰されないように心の余裕を作り出そうとしているのは、宗助の成長と言うか、人間味を感じさせた印象に残った。
クルツの死
考えていれば、死亡フラグは立ちすぎるくらい立っていたんだ……orz
- マオとの仲が一歩踏み込んだものになった。
- 戦う相手は狙撃の師匠。
- そして、ロックオン(『機動戦士ガンダム00』)と声優さんが同じ三木眞一郎氏(それは関係ないだろう)!
AS戦に敗れながらも、生身の狙撃で勝利するも、それは命と引き換えのものだった。
宗助にとっても、テッサにとっても、マオにとっても、読者にとっても当然あとに残るものがあるわけで……。最初からこうなる予定だったのかナァ。
ウィスパードの真実
作中最大の謎だったウィスパードの謎が、ついに明らかになる。
- オムニ・スフィアは人間の精神が作り上げている領域である。そこで時間にも空間にも束縛されない。
- ある博士がその存在を確信し実験、国家機密となる。
- しかしTAROSの最大稼動実験中に事故が発生した。事故時間に誕生した新生児に影響を与え、かなめ、テッサ、レナード達のようなウィスパードを生み出した。
- ウィスパードとは、未来から送られてくる別の精神波を受信する能力を持った者であり、それは現在の世界情勢、科学技術などに大きな影響を生み出した……。
とまぁ、凄く要約するとこんなところか。
そしてそれの裏するところは、このウィスパードの技術のせいで歪んだ世界とは違う、正しい歴史を辿った世界があったのではないか? と言う事。
その正しい歴史に世界を戻すため(?)、もしくは、オムニ・スフィアのように時間も空間も束縛されないような世界にするために、レナードは活動していた。そして、かなめはまさにその計画の『要』となるための存在だった。
かなめの意識は変貌し、レナードと行動を共にする。