第2話「少女」

「海が燃える現象」に見舞われたアイランド。アイランド全域はその影響で停電となり、病院の生命維持装置等が停止してしまう。この事態を解決するために、波留はメタルの海へダイブし、ミナモは変電所を目指す。

第一感想

 見ていて爽快・痛快だった今回のエピソード。
 メタルの海の潜る波留と考える前に走るミナモ。虚構と現実が交錯し、影響しあう様は、今作のような作品の醍醐味と言っても過言ではない。
 以下感想。

ミナモという少女

「考えるより先に行動する娘」と言うミナモのキャラクターが、今回は幼少時からさかのぼって描かれた。
「海」「海が燃える」「ダイバー」「潜脳」……と、「海」(深海)が未知の存在であり、解き明かされるべきものとなっているこの作品であるが、ミナモはオーストラリアの大地で育っている。
「誰かに教えてもらう前に自分で考える」事、「自然を五感で感じる」事。数字化された電脳とは対極的な要素に囲まれて育った事が判る。
 この大地から、海へ。何も電脳と言う電気的なものでつながっているだけでなく、大地から海へ、海から大地へつながっている。超然的なものがテクノロジーの前にすでに存在する事を表現している。

ただのダイバーとしての波留

 メタルの海へダイブした波留は、変電所のシステムに苦戦する電理研の契約ダイバーの前で颯爽とシステムに侵入してみせる。
 この時に名乗ったのが「ただのダイバーだ」と言うセリフだった。第1話での失意に沈んでいた頃とは違い、自分の体一つで海と相対していた五〇年前の復活に燃えた。

虚構と現実でつながるもの

 メタルの海の中での波留。現実の変電所で、行動するミナモ。二人がそれぞれ自分のやるべき事をやる事で、今回の事件が解決する事となった。
 メタルの有効性は表現された通りで、携帯電話のような端末も要らないし、手をかざすだけですべてが可能となる。ダイブすれば、システムを自在にコントロールすることも可能だ。しかし、当然ながら現実で、手動で操作しなければならないものはメタルでもどうにもならない。しかしミナモは、何も言われなくても変電所へ突っ走っていって、風力発電を動かして見せた。その結果、アイランドの停電は解決した。メタルと現実で相互に影響しあい、事態を解決する。この人間の力が最後には勝敗を分けた。
 そしてこれは失意の内にあった波留をミナモが救い上げた事になる。波留の失意は、彼の中だけの虚構となり、新たなメタルの海と言う現実が波留の前に現れた。新たな風をミナモが運んだのだ。

次回は

 久島と五〇年来の再会? それにしても速攻で迎えに来るあたり、久島は波留の事大好きなんだなぁ(ヲイ)。