第1話「ウラシマドライブ」

 二〇一二年、海上都市・人工島は建設半ばで「海が燃える現象」に遭い崩壊し、その近海で「地球律」と呼ばれる現象の観測実験中だったダイバー・波留はその後五〇年間眠り続ける事になる。
 そして二〇六一年。五十年の年月を越え、再び「海が燃える現象」がメタルの中に観測される。

第一感想

 オリジナルアニメあらば手をつけないわけにはいかぬ! その一。そんなわけで『RD 潜脳調査室』感想。
 何気ないセリフ中に隠された情報量の多さ、海、メタルと言ったネットワークのビジュアル。そしてキャラクター同士の関係性……と、士郎正宗と言う天才の作品に実質触れるのが初めての自分にはあらゆるものが衝撃的だった。知り合いが何人も夢中になってるけど、そりゃそうなるのも分かる。
 しかし自分の住んでいる地域では何と一ヶ月遅れの放送になるが、とてもじゃないが待ってられないのでGyaOで視聴。新たなネット環境、万歳!
 以下感想。

波留と久島の友情

 何より、この二人の友情に燃え……そして萌えッ。
 波留は人間の五感を、久島は電脳と言うデジタルなものを信じる、いわばそれぞれ対極にある存在。しかしそんな二人だからこそ、「地球律」なる大きな、しかし実態の不確かなものを相手にしていける、つながっていけるし、事実そうつながっている。
 そんな友情が垣間見える。特に波留を助けるために左手にワイヤーを食い込ませながら必死で手繰り寄せる、そんな久島の姿に燃えた……!
 波留は波留で、久島の成果とも言えるメタルを素直に賞賛したりと、やはりこの二人の間の関係は深い事が伺える。

波留の復活と再生

 第1話の最大の見所はまさにここ!
 若い頃の精神のまま五〇年の歳月が経ってしまい、体はすっかり老人に、頭は電脳化されてしまった。体一つで海と向き合っていたあの頃の自分はもういない。
 しかしメタルの海にダイブする事で、若い体を取り戻し、体一つでネットの海を潜るその姿は、まさにイニシエーション的なものを感じさせる。

電脳と五感

 ホロンとソウタ。ソウタとミナモと、それぞれ電脳と五感を対にさせて描いているこの作品。
 デジタルの圧倒的優位性は誰しもが認めるものではあるが、人間にはこれまで発展の礎となってきた高次の能力、直感と言うものが確かに存在する。ホロンとミナモは、特にそれを象徴化したキャラクターと言えるのかも知れない。
 またそのどちらにも対立し、また重なっている部分があるのがソウタだ。生身でアンドロイドに立ち向かい、なおかつ電脳と言うものに対して圧倒的な信頼を置いているソウタ。ソウタが外部へ出力するキャラであり、そして波留は内部へ潜るキャラとなる。上手く対となって活動できそうな設定だから、今後はそうなったりするのだろうか?