Episode 12「NEW WORLD」

 この世界を影で支配する存在が平行して存在するもう一つの世界、パラレルワールドへの侵略の意図を知ったジン達。四人は主要施設を破壊するため、二手に分かれる。しかし彼らの前に多くの障害が立ち塞がる!



ULTRASEVEN X』の最終話をついに視聴する事ができてちょっと感動。
 見逃して、ネタバレ踏んではジッタジッタして……。でももうそんな憂鬱ともオサラバさ! ヒャッホウ! 
 以下感想。

最大の侵略

 今回の最終話で、ついに侵略者の意図が描かれる。
 情報を支配し、世界を操っていた侵略者達。しかし彼らには侵略の意図は無かった。食事のように、情報が無ければ生きていけない人間達に、空気のように寄り添って存在し続ける。それが例え、パラレルワールドの人間であっても。それが侵略者達の目的だった。
 高圧的な支配よりも、よっぽど恐ろしい事をさらりと言ってのける連中。しかしそれよりも恐ろしいのは、彼らの存在を許した世界そのもの。モニターにも、戦いにもあらゆる事に無関心に描かれていた市民達。ジン達が戦って世界を変えても、きっと何にも関心を持たず今まで通り生きていくに違いない。そんな想像を容易にさせられる。
 結局のところ、最大の侵略は人々の無関心である――と、言われているようだ。

ウルトラセブン

 そんな侵略者達に、ウルトラセブンとして、本当の力を発揮するジン。
 セブンXの正体は、パラレルワールドウルトラセブン=モロボシダンその人。三ヶ月前、エージェントに追い詰められ能朱湖に落ちたジンとエレア。この時致命傷を追っていたジンは、エレアの祈りに呼応して現れたセブンと融合し命を取り留めた。しかしその代償として、記憶も能力も封じられてしまった。
 その封が解かれ、真の戦闘能力を発揮して戦うセブン! メカ・グラキエスとグラキエスの群れをエメリウム光線アイスラッガー、ワイドショットと連続攻撃で一掃していくセブンの姿は痛快の一言! 解放されたウルトラマンの力の凄まじさを感じさせる。
 絶体絶命の中、互いにチョコを食べあったりしているなど、最後まで熱いお約束を踏んでいたケイとエスを助け出し、向こう側の世界へと去っていくセブン。
 その向こう側の世界では、ダンとアンヌが数十年ごしの再会が描かれた……。これを描くために、『セブンX』はあったのだなぁと思わせてくれる素敵なシーンだった。

総評

 最後の最後、結局誰にも知られる事無く戦われ、救われた世界。それもすべては、エレア一人の祈りから始まったのだ。
 無関心な人々の恐怖が描かれる中で、姿無き脅威と一人戦い続け、そして祈り続けたエレアが救世主としてセブンを呼んだ……と言うのはあまりに美しくて溜息もの。
 しかし、情報を管理していた存在を倒して、それで本当に大丈夫なのか? と言う一抹の不安もあり……。ここいらも、これまで描かれてきた美しさと後味の悪さの交じった「らしい」終わり方だった。
 しつこく追いかけて、最終話を探してよかった、と思わせてくれる作品。『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』も、同じ低予算の作品ですが、それだけにスタッフの「やりたい事」「見せたいもの」がストレートに表現されてて逆によかったりする。嗚呼、ウルトラ魂は永遠に不滅だ!