第二十四話「アストラル」

 いつきの妖精眼を治すため、竜を生贄に捧げようとする穂波。彼女を止めるため、すべての仲間達が儀式が行われているタワーへと向かう。しかし彼らの前に立ち塞がったフィンの力に圧倒されてしまうが……。



 アニメ版『レンタルマギカ』ついに最終話!
 原作の構成を変えて、ある意味一番盛り上がる『竜と魔法使い』をラストに持ってきた事で、原作でもできなかった豪華なクライマックスが展開された。
 以下感想。

好きなのか? 負い目なのか?

 幼少時、祖母から「いつきは特別だ」と聞いた穂波。同じ「特別」だったいつきを幽霊屋敷に誘ったのは穂波が最初だった。そのせいでいつきは負うはずの無かった業を背負う事になってしまった。その贖罪のためケルト魔術を復興させ、アストラルに入社し、今フィンに誘われ暴走する穂波。
 しかし、同じくいつきに好意を持つアディリシアに「好きなのか、負い目なのか?」と改めて穂波を暴走に駆り立てた根っこになるところの気持ちを問われ、儀式を中断した穂波。
 やはりここで同じ想いを持つアディリシアの言葉が力になった。いつきに自分の血を飲ませて、いつきと共に手に入れた魔神アスモダイを喚起するアディリシアに対して、同じくケルト魔術の奥義であるリビングワンドで相対する穂波。
 しかし同じ切り札の応酬名だけに、両者の想いがくっきりと浮き彫りになった。好意で魔神を喚起したアディリシアと、負い目からリビングワンドを使った穂波。
 自分の想いに対するアディリシアの強さを見せ付ける一幕だった。

二人の傷

 自ら妖精眼の封印を解き、穂波と共に妖精眼の傷を共有する事を宣言したいつき。まぁこの人は、師匠(隻蓮)同様、女の柔らかい所に踏み込んでいく男だぜぇっ!

フィンの最後?

 自らには何の願望もなく、すべては嘘だらけというもう一人の妖精眼の持ち主、フィン。しかも魔法使いの禁忌を身上とするオピオンに参加しており、いつきをオピオンに誘ったのも誰かの願いだった、と言う、最後の最後まで自らの願いには無縁だったフィン。
 いつきの妖精眼が見抜いたその本質は、「自分の闇を自分で背負っていない」事。他人の願いを叶えるという名目で、自分の居場所を確保しようとしていたフィン。確かにそれは、本質的に自分の力で居場所を獲得しているのではなく、他者に確保してもらっていると言う事。そして、彼自身の抱える取り替え児としての闇を他人におしつけ自分では感じないようにしている事になる。
 オピオンの一員としても、またいつきが超えるべきキャラクターとしての因縁深い相手となったフィン。また、対決する機会はあるのかどうか。

アストラル

 孵化しようとしていた竜は、自らが何者であるのか、それを常にいつきに訊ねていた。妖精眼が常に魔法を見る事を強いたのも、竜が何者か、いつきがきっちり見定める事ができるようにするため――と言うのは考えすぎか。
 とにかく、最後にいつきが穂波と共に竜に名付けた名前は、アストラル。二人で共に妖精眼を背負うと決め、これからも二人が存在す続ける居場所そのものとして竜が名付けられた。
 さらっといっちゃん、社長業永久継続宣言に加え、穂波も常にそこにいる事を決められたわけだ。いっちゃん、それ何てプロポーズ? 

最後の三輪先生

 え゛!? 三輪先生猫屋敷さん(驚)?! 最後の最後まで読めない人ッ。

総評

 あまり効果が無かったエピソード入れ替えなど、原作をアニメ化するにあたっての変更が巧く功を奏していなかった前半。しかし後半になってからは、原作とアニメオリジナルエピソードが巧く噛み合い、原作以上の面白さを体験する事が出来た。
 第二期は原作のストック上難しい事だが、とにかく楽しませてもらった半年だった。原作では過去編が本格的にスタートするので、OVAとかでどうでしょう?