第9話「交響・イクサ・フィストオン」

 一九八六年。
 次狼をハンター組織に加えたゆり達は、ブラックスターと呼ばれるバイオリンの周りで起こった事件にファンガイアの関わりを疑い、ブラックスターをオークションで競り落とす。 
 二〇〇八年。
 独学の限界を感じた渡は、大村にバイオリン作りについて師事する事に。しかし○の正体はフロッグファンガイアであった。フロッグファンギアにした名護は、イクサに変身し相対する。



 ついに第二のライダー・イクサ登場! 
 「鎧とパワードスーツ」「お喋りできる手に持つ変身アイテム」「展開ギミック」などに共通点を置いて、

キバ 生物的 赤、黒、銀
イクサ 機械的 青、白、金

と、相反する要素を組み込んだデザインが素敵だ。
 以下感想。

ゆりが段々ムカついてきた

 馬鹿! 次狼なんかよりも音也の方がずっと!……「いい」とは口が裂けても言えないけれど(ヲイ)。音也の方が真摯じゃないか! 何だか一生懸命やっているのに空回る音也を見ていられない。
 しかも、ブラックスターをギーギー適当に弾きやがって……! 音也がゆりに対して言い寄っているんじゃなくて、音楽を陵辱しているゆりからブラックスターを救おうとしているのに気がついてくれ。
 こういう所は恵と同じ。母娘揃って、変なところで似やがって。

次狼、マモン、力

 ついに過去編でも揃った三人のモンスター達。彼らは皆、一族をファンガイアに滅ぼされ最後の生き残りになったモンスター達。ファンガイアとは同じ「人間のライフエナジーを食事にする生物」ではあっても、別々の種族のようだ。
 ファンガイアへの復讐のため、ハンター組織を利用しようとする次狼。だが現在では、ハンター組織ではなく、キバと契約を交わし武器となっている。明かされるのはずっと後半になるだろうが、これも作品を牽引する謎なんだろう。ハンター組織はファンガイアも次狼達も危険視している事を知っての離反か、それとも何らかの別の理由があるのか……?

視界を広げていく渡

 最初登場した頃は「この世アレルギー」なんて言って世界と関われなかった渡が、名護への憧れをきっかけにどんどん視界を広げていく。アルバイトの後は、他人に師事してバイオリンの製作技術を学びたい、と意思を表明し、その技術を学んでいる。自分一人で父に迫りたい、と思っていたものの、その道は一人では歩けない。奇しくも渡は、憧れの名護とは対照的に、他者との共存の道を歩んでいる。
 今回も、大村がフロッグファンガイアだと知り、しかもそれが名護が狙っていると知った時――渡は名護に逆らってまで大村を守る事が出来るのだろうか?

幼稚なイクサとコドモの名護

 最初に驚いたのは、まるで幼児のようなたどたどしいイクサベルトの音声。設定では一九八六年から一〇年以上かけてバージョンアップされているはずなのに、それをまるで感じさせず「未成熟」と言う言葉がしっくりくる。
 そして装着者の名護は名護で、自分のミスを認められない、認める事が出来ないコドモだ。何せミスを認めれば、自分の父親や、これまで捕らえてきた賞金首と自分が同じと言う事になってしまう。そんな名護が、幼稚ながら強力な力を手に入れた――まさに鼠を見たドラえもん地球破壊爆弾。サイアクの組み合わせだ。
 このサイアクなライダーが成長し、真に理性的なライダーとして覚醒しなければ、最後にはミスを認められない偏狭な人類の代表として葬られる末路しか待っていないだろう。
 でも、はっきり言って名護みたいなキャラは最後まで改心なんてしそうにないからそうなりそうだが。

次回は

 ついに名護が、渡に本性を見せる!?