第10話「化猫 二の幕」

 物の怪・化猫を斬るため、退魔の剣を抜くために必要な「真」と「理」を坂井家の人間達から話を聞き出す薬売り。しかし化猫は薬売りの作った結界を抜け、次々と坂井家の人間を喰らっていく……。




「化猫」二の幕では、薬売りが求める「真」と「理」とは何か? と言う事が描かれていくエピソード。
 以下感想。



「真」とは事の有様。「理」とは心の有様。「形」である化猫と言う物の怪は、人の因果と縁が巡って生れたモノ。
 誰かが猫に何かをして、化猫が生れた。それがどんな理由であっても、「逆恨み」と言う言葉があるように、物の怪には物の怪の理由があり、それは人間に腑が落ちるものであるのかどうかも分からない。
「なぜ、坂井家には鼠を取る猫がいないのか?」
 その一つをきっかけに、化猫が生れた因果を手繰っていく薬売り。冷然と坂井家の人間を見つめ、化猫が生れたわけを見つけようとする冷静さは酷とすら感じるほど。
 しかし一方で、加世のために一緒に土間についていってやったり、小田島をおちょっくって遊んでいるとしか思えないような話し方など、単に情が無いなどの一言では語れぬ人格の深さが垣間見えます。
 またこの結界作りの部分でも映像的な美しさは発揮され、特に蝶を模した天秤はユーモラスで可愛らしい。天秤なのに物の怪との「距離」を計ると言う不可思議な道具ですが、その傾きと鈴の音で化猫の接近を表すのはその姿が見えないだけに面白い。……もしかしたら、「猫に鈴」とかけてたりするのかな?




 接近し、結界の中の人々を狂乱させていく化猫。札を侵蝕し、じわじわ近づいていく。奥へ、奥の部屋へと逃げていく薬売り達であったが、ついには最後の部屋まで追い詰められてしまう。
 あわや……と言う所で現れた隠し部屋。飾られていた花嫁衣裳。それと化猫の理の形であるという珠生と言う娘との関係はいかに。 
 そうして示された化猫の「真」はご隠居・坂井伊行だった……。




 次回はいよいよ大詰め。明かされる「真」と「理」とは果たして。