第1話「運命・ウェイクアップ!」

 一九八六年のとある教会。葬儀の最中、棺の中の死体がスパイダーファンガイアとして復活し、人々を襲いだす。スパイダーファンガイアに立ち向かうのはたった一人の女・麻生ゆり。彼女はファンガイアとの戦いの中、紅音也と言う青年と出会う。
 その二二年後・二〇〇八年現在。マスクにゴーグルを身につけた怪しい風体で魚の骨を集める青年・紅渡は、ファンガイアの出現を察知し、キバに変身して戦うのだった。




 新仮面ライダーシリーズ第1話。「石ノ森章太郎生誕70周年記念」作品と言う事ですが、今はまだ様子見でしょうか。『電王』に感じたインパクトを求める方がおかしいのですが、早く慣れていきたい。
 バブル期の一九八六年と現代の二〇〇八年で活躍する親子の戦いを並行して描くため、過去と現代の区別のつけ方、両者に共通する喫茶店の描き方などが巧い。
 時系列の混乱がほとんど感じられないので、割と素直に観ていく事ができたのが自分でも意外。




 いかにも井上キャラ的な音也と、やっぱり井上キャラ的な微妙におかしいその息子・渡。
 渡は「世の中アレルギー」を自称し、世界がとんでもなく汚いもの。それが平気な自分も汚いのだと思ってしまうキャラクター。それがどのような心情から生まれたものなのかは今はまだ不明ですが……。と言う事は渡って、自分が綺麗な存在だと思っているのか? それはそれで凄いな。
 魚の骨を集めてヴァイオリンのニスに使う、という彼の行為が非常に特異かつ異常なものであるように描かれていますが、虫の分泌物が含まれた成分を使うとか、割と一般人の理解の範疇を超えた世界なので、あれくらいならまだ「分かる」方です(笑)。




 今回初登場のキバ。変身エフェクトがファンガイアと同じで、関連性・同族性をより今までのシリーズよりも強調しているのが印象的。しかしキバそのものよりもベルトであるキバットキバットバット)の方にどちらかと言うと目がいく感じ。
 杉田智和氏の起用、愛嬌あるアクション、「キバッテいくぜ!」などの決めセリフなど、平成ライダーシリーズで言うとイマジンの流れを濃く汲むキャラクター。ガチャガチャ飛ぶ姿が妙に可愛い。一緒に風呂にまで入っちゃってるし!




 しかし、あえて言わせて貰おう。バイオリンとヒーロー……。その境地には二年前、ウサミミ仮面がすでに立っている(ぇー)!