第3話「四谷怪談 三の幕」
右衛門がお梅とその祖父を斬殺した後、伊藤家は取り潰しとなった。しかし、右衛門は未だ生き続けていた。だが、その心の内は常にお岩のタタリに怯えていたのだった……。
突然の実写から始まり驚いた三の幕。原作者の鶴屋南北から語られるお岩の姿。実際に存在したお岩は、貞女の鑑か。はたまた男に裏切られ鬼女となった哀れな女なのか……。
以下感想。
取り潰しとなった伊藤家を背に逃げ出した右衛門。彼は母親に自分は死んだ事にしてもらい、未だ逃げ続けていた。自分と同じタイミングで殺人を犯し、ある意味共犯となった直助に対して「首が飛んでも生きてみせる」と豪語する。
それもそのはず、お岩に毒を持ったのは伊藤家のお梅らであり、右衛門は成り行きに従っただけに過ぎない。
もしも彼が見たお岩の姿が祟りでは無く彼の脳内も幻に過ぎないとすれば、すべては彼自身の罪悪感から来る幻にか過ぎなかったのかも知れない。事実、右衛門は精神的に自分で勝手に追い詰められているようにも見える。
そうして、今回はお岩の義妹であるお袖にスポットが当たる。
直助と仮初の夫婦としての生活を続けていたお袖は、お岩の死を知らなかった。しかし彼女の下へお岩の櫛や古着が次々と集まり、お袖は彼女の死を知る。
お岩の敵である右衛門を討つために、直助に迫られ本当の夫婦になるお袖。
しかしその夜、直助に殺されたはずの与茂七が生きて現れる。密命を受け、他人と服を入れ替えていた。
また現れた邪魔者を殺そうと画策する直助。しかし直助に、お袖が協力すると囁く。同様に、与茂七にも直助を殺すように囁くお袖。
「屏風越しに相手を刺せ」と言われた通りに男二人が刺した相手は、何とお袖!
彼女と直助は生き別れの兄妹であり、それを知った直助は自害し、敵討ちを与茂七に託して息絶える。
命を賭して絶った宿命。兄である直助への贖罪や、許婚だった与茂七への罪滅ぼし。またそんな二人に互いに憎みあって欲しくない……そんな彼女の思いがそこにあったのか。
ともあれ、一度生れた宿命・因縁を絶つにはこれほどの代償が必要になる、と言う事は確か。
しかし、未だその宿命から逃げ続ける右衛門。果たして、お岩の祟りは彼をどこへ追いやっていくのか……。次回、いよいよ大詰め。