『拳精』

拳精 [DVD]

拳精 [DVD]

獣拳戦隊ゲキレンジャー』からアクション映画に触れてみよう企画、第十八弾。
 今回は『拳精』。

 拳法界の総本山、少林寺で修行に励む青年・一龍(イーロン)。いつも悪戯ばかりだが皆に愛される青年である。
 ある日彼が夜警をしている晩、賊が少林寺に侵入し、門外不出の必殺拳「七死拳」の極意所が盗まれてしまう。これに打ち勝つ事の出来るのは「五獣拳」だけだが、それを記した極意書は今はもう存在しなかった。
 ある日、一龍の目の前に宇宙から落ちてきた隕石に刺激され、部屋の隅にあった「五獣拳」の極意書から現れた妖精=拳精が現れる。
 一龍は拳精から「五獣拳」を学び、盗まれた「七死拳」の極意書を手に入れ拳法界の総帥になろうと企むルーツァオと対決する!

 ストーリーはこちら。
 ストーリーを軽く読めば分かるように、恐ろしいほどコメディ。
 極意書から精霊が登場したり、そのきっかけが宇宙から突然落下してきた隕石だったり、あまつさえその精霊=拳精が白塗りに赤い髪、頭にそれぞれの拳法になった獣のレリーフを乗せている珍妙過ぎるデザインをしているなど、真面目に観れば観るほど疲れる一本。視聴の際には、気軽に肩の力を抜く事を忘れないで下さい(笑)。
 しかしこの作品、色々来歴にキナ臭いところがあり、主演のジャッキー・チェン自身がこの作品を酷評していたり、脚本の都合で「七死拳」の極意書が盗まれるシーンが二種類あるなど、コメディの裏事情が伺えます(何)。
 余談ながら、日本語吹き替え版では単純に「必殺拳」と訳されてますのでそこらへんも注意して下さい。「七死拳」とか一言も言ってませんでした(ヲイ)。




『ゲキレン』的には、もう色々つっこみたいところが満載でw
 その中でも、

  • 一つの武術から現れる対照的な二つの拳法。
  • 人外の師匠から拳法を学び、修行して強くなる。

の二点は外せないポイント。
 前者は獣拳から分派した激獣拳と臨獣拳の流れだし、後者はマスター・シャーフーら七拳聖、三拳魔に学ぶゲキレンジャー、理央達に通じる部分ですね。
 ファンの人の中には、拳「聖」達を拳「精」と呼びたい人達もいたんだろうなぁ。




 さて本作の魅力は、やはりジャッキー演じる一龍と拳精達の絡みでしょう。
 本当にひょんな事から、と言うか軽いノリで拳精達から「五獣拳」を学ぶ事になった一龍。それぞれ、龍、蛇、虎、鶴、豹をモチーフにした拳法を学びながら、彼は少林寺の総帥になるため候補を次々と殺害していく凶悪な拳法家ルーツァオと。さらに彼を戦いへと導いた黒幕との対決していきます。
 その中で、普段は一龍意外に姿が見えない拳精達と共にラスボスと戦うアクションは見所。こちらから見れば六対一。しかし姿は見えず、何が起こったか戸惑うばかり、と言うシチュエーションがコミカルで面白い。
 またやはり現在では珍しい十八人もの多人数(師匠)を相手にジャッキー一人がトンファー二本で戦う、と言うアクションも見所。  
 現在のジャッキー映画を観慣れていると相当異色作だと思われがちですが、それも含めて初期ジャッキー作品の空気が魅力の作品です。