『獣拳戦隊ゲキレンジャー』修行その41「ズシズシ!もうやだ」

 突然知らされた、ダンから引き継いだ理央との戦いの宿命。ジャンはこれまで感じた事の無いプレッシャーに襲われパニック状態になってしまい、戦う事も出来ず、ついにはゲキレンジャーを辞めてしまう。
 無我夢中で逃げていたジャンは、いつの間にか自分が生まれ育った森に辿り着いていた……。




 今回はジャンが宿命について懊悩するエピソード。しかしその宿命を巡り、他の拳士達の心も乱れていく。




 まずはジャン。
 これまで様々な戦いに対し、常に「ニキニキ」「ワキワキ」等の自分の体から湧き上がってきた感情のまま戦ってきたジャン。しかし降ってわいてきた理央とダンの因縁を敵からも味方からも押しつけられパニック状態に。
 ジャンがウジャウジャ=不安な時、いつもその心情を分かりやすく伝えてきたのがジャンの夢。幻獣王となった理央を前に怯えるジャン。しかし一番怖いのは、スウグ=ダンが勝手にジャンの拳を動かす事。
 まるでジャンが宿命で動かされるだけのロボットであるかのように無機的な動作は、ジャンがこれまで原動力としてきた感情とも、そして欲しかった自分だけの家族の温かさとは程遠い冷たいもの。
 そんな不安を振り払うため、以前ランがしていたようにひたすら突きの練習=いつもと同じ事をやって不安を振り払おうとするも、不安はむしろ増すばかり。
 ついにはゲキチェンジャーを放り投げ、ゲキレンジャーを辞めゲキシャークで生まれ育った森に逃げ帰ってしまう。
 そこに現れたのがマスター・シャーフー。ジャンの先回りをして(笑)足をくじいたと嘘をついてジャンにおぶってもらいながら、かつてダンが育った村を共に目指す事に。
 ジャンが感じるズシズシ=プレッシャーは父の事を何も知らないから。そこで自分の親の起源を探させる事でジャンにプレッシャーをはねのける材料を見つけてほしかったのか。そんなマスター・シャーフーはマジいい師匠。
 その途中メレに襲われるも、ジャンは決してマスター・シャーフーを見捨てようとはしなかった。かつて過激気を習得する時に「みんなを守りたい」と言う想ったように、背中にどんな重荷を背負っても、みんなを守るために戦う、と言うのが最終的にジャンが到達する境地なのか?




 ジャンの宿命に心乱される拳士達。
 一番それが顕著だったのは、ゴウとメレ。
 ゴウはかつてのダンと理央の因縁を間近で目撃していたし、臨獣拳に走ろうとした理央を獣獣全身変を使ってまで止めようとした過去がある。しかし今はダンのために理央と戦う資格はもうジャン一人の物になってしまった。けれどもそのジャンが戦えないなんて言っているのだから、怒るのも当たり前。
 そしてメレ。
 理央のためにずっと尽くしていて、幻獣拳士としてさらなる力も身につけた。しかし愛を捧げる理央が本当の意味で求めているのはジャンしかいない。ジャンしか見ていない。メレがどんなに切望しても手に入れられないものをあっさりと手に入れたジャンにメラメラとメレの憎しみと嫉妬と怒りの炎が燃え上がる。三拳魔の教えは、ここにきても生きてます(違うんじゃね?)。




 理央を幻獣王に頂き、いよいよ幻獣拳の時代、とウキウキ気分なロンに理央の水入り。未だ理央はロンの事を信じていないのか、王を動かしたいならロンの力を見せてみろ、と言い放つ。しぶしぶ頷くロンですが、この時の不満顔が実に、イイ! 計画通りにいかない事にイラつくロンの内面をよく表しているなと感心。
 ロンが派遣した双幻士、アーヴァンク拳のソジョ。カプリコーン拳のドロウ。彼らの異形ちっくなデザインと、スーツアクターさんのコミカルな演技。さらにソジョ役に津久井教生氏。ドロウ役に稲田徹氏と、共にヤツデンワニ、ボス(もちろん『デカレンジャー』)などの個性的なキャラクターを演じた声優陣の演技の三つが合わさって恐ろしく濃い存在感を主張しています。
 シリアスなロンに比べ、ほんとに考えずに感じて生きているギャグキャラ要因としか思えない二人ですが、陰謀・策謀・策略の暗い道を往くロンを、陰に日向に彼らが明るく支えてきた……。そんなストーリーを妄想すると、怖いくらい萌えるのは自分だけですか(笑)?  




 ジャンはただの漢堂ジャン。しかしダンの技と力を受け継いだたった一人の漢堂ジャン。ジャンは宿命を受け止め、理央の前に戦う事が出来るのか!?