Episode 8「BLOOD MESSAGE」

 雷雨の夜にドラッグの売人が殺されると言う殺人事件が連続していた。DEUSは現場に残されていた血文字「No man」から、事件をエイリアンによるものと判断。調査を開始する。




 管理社会からこぼれたり不満を持った人間とエイリアンとの間に起こった事件。そこに起こった悲哀や感動が魅力の『ウルトラセブンX』ですが、今回のゲスト、アガタ・キョウスケは自分と言うカテゴリーからもこぼれおちてしまった人間でした。
 登場するエイリアン、殺戮宇宙人ヒュプナスはエイリアンとしての記憶を消され、人間に擬態して日常に紛れ込むエイリアン。普段は善良な隣人として生活する彼らの擬態が解けるキッカケは、極度の肉体的苦痛。凶悪なエイリアンに変貌した後は、殺戮本能のまま周囲の人間をすべて殺してしまうまで止まらない。
 アガタ・キョウスケは凶悪なドラッグの売人に殺され、エイリアンに変貌した妻と二人で暮らす。雷雨の夜に復讐殺人に赴く彼女のとアンバランスな生活を営んでいた……しかし、それはすべて彼の妄想。本当は彼がエイリアンで、妻も自分が殺していた。それを認めるのが恐ろしくて、自分の記憶を改竄していた。
 スリラー映画を元ネタにした今回のエピソードは、社会からこぼれ落ちたドラッグの売人が被害者であり、一般人に擬態した人間がエイリアンであるといういつもと逆転した構図。
 ケダモノと言われても仕方が無いような人間も、エイリアンも実は等しく狂っている。そして誰かを殺しながら他人に助けを求めるところも。
 結局、両者に差異は無い。狂気の分水嶺を超えるのに種族の差は関係ないと言う皮肉。




 自分が自分でなくなる恐怖を感じるジン。自分の記憶をエレアに訊ねるも、彼女は「思い出さないほうがいい記憶もある」と言うばかり。「水」の夢を見るジンが見上げた空は、まるで水面のようになる。
 作品のカラーから、全部が仮想現実であるとか言われてもおかしくないオチなんですが……。オリジナルセブンとの関連も含めて気になるところですね。




 アガタ・キョウスケ役の黒田勇樹氏は『劇場版 仮面ライダー剣』で新世代ライダーのリーダー志村としてもおなじみ。氏の独特の演技が、妻との会話はもちろん、妄想の中の一人芝居、女装にいたるまで独特の味を出してて迫力満点でした。