第25話「金沢市はざま交差点」
イサコを助けるため、元クラスメイトのマユミに会うヤサコ。しかしマユミからは協力を拒否され、自分のイマーゴを頼りに古い空間を探し始める。
そんなヤサコを、ハラケンと玉子が。そして猫目兄弟達が追っていた。
ヤサコが大黒市にやってくる前にいた金沢市。そこはコイルスの支社があった街だった。そのためか、ミチコさんや通路に触れてしまったマユミをヤサコは信じなかった。陰では呼び捨てにしていたり、困っている時には助けなかった。優しいフリ、友達のフリをしていただけだった。
それは「ミチコさん」と言う未知の噂に怯えるヤサコの心理からすれば当然の事だし、マユミから見れば自分に真剣に関わろうとしない=いじめていたと思われても仕方が無い事だった。
誰でも友達はいてほしいし、一人だけではいたくない。しかし真剣に、他人の深いところにまで関わりあいになりたくない。自分が困っていれば助けて欲しい。陰ではよく言われたい。
いじめたいじめられていたと言うカテゴリー分けにこの場合意味が無く、互いにワガママな一人の人間がいただけだった。
マユミに「自分でやれ」と突き放されたヤサコは、ヌルに導かれあっち側の世界へ。
大黒市にいたイリーガル・ヌルの本来の目的は人間の電脳体を運ぶ乗り物。オジジのメガネを使っていたヤサコは、イサコを助けるためあっち側へと向かう。
ハラケン、玉子のサポートにより、サッチー・タマと2.0の壮絶なビジュアルの電脳戦も潜り抜けたものの、肝心のイサコには拒絶されてしまう。
ミチコさんに唆されたイサコは自分の空間を守るため、ヤサコを拒絶する。兄と一緒に永遠にいたかった。それだけの願いで兄を失ってしまったイサコ。しかし失われた記憶と記録が、ついに真実を明らかにする。これまでイサコの兄と思われていた4423は実はイサコの兄ではなく、天沢勇子=イサコ本人だった。前回イサコの伯父が言った22とは、イサコの兄のカルテ番号である「4422」の事だった。
最終話直前に色々と怒涛のように明らかになっていく事実。ストーリーの勢いをまったくそこねず、逆にもっと深いところに見ている人間を引きずりこむ手腕に素直に感動するしかない。
猫目兄弟の事情もいよいよ明らかになった。彼らの父はイマーゴを初めて発見した研究者であったにも関わらず、メガマスに横取りされ、家族共々捨てられた。その復讐をメガマスに果たそうと、ヤサコを殺そうとするばかりか世界中のイマーゴの子どもを意識不明にさせてメガメスにそれをなすりつけようとする狂気を見せる。
弟であるタケルはおりてしまい、もはや猫目はたった独り。
次回はいよいよ最終話。長いようで短いようでやはり長かった『電脳コイル』だが、心して視聴しよう。