Episode 3「HOPELESS」

 ある日、公園でジンはタマルと言う男から仕事を誘われる。タマルは、エイリアンによる脳の異常収縮事件と何らかの関わりがあると感じたジンはケイと共に、タマルの仕事に乗るフリをして近づくが……。




 仕事に信念を持って、給料が安くても遠い未来のために働けるか。それとも、今、楽に大金を手に入れるために自分の命を売れますか? そういう問いが、深夜に重〜く圧し掛かるエピソードでした。
 マーキンド星人のタマルが、しごく明るいノリで仕事を斡旋していく調子が、本当に何かの悪い冗談のように聞こえる。
 政府が失業率0%を目指して斡旋する仕事は、どれもキツくて人の嫌がる事ばかり。そんな仕事から逃れて、公園で隠れ住むようになった負け犬達を、誰が呼んだかホープレス。
 彼らの労働力と、脳から取り出したエネルギーで依頼された侵略兵器を製作しているタマル。
 ジンはウルトラセブンXとしてタマルと戦い、ケイは人間として人々を逃がし、地球の未来を守ろうとしている。
 しかし、ホープレス達は、地球なんかよりも「今」「金を稼ぐ方が大切」で、「地球」よりも「明日の生活」が大切と言い切る。「未来なんて真っ暗」だと。
 未来なんて真っ暗だと言い切って、命を削って金を稼ぐような。まるで金の奴隷になったようなホープレス達。
 彼らも同じ侵略兵器を作った、同罪だと言い放つタマル。
 ウルトラセブンXがタマルを倒した後、何事もなかったように去っていく人々……。




 ホープレスのあまりの物言いと態度もインパクトは強かったですが、何より印象に残ったのがそんなタマルやホープレスに対して何もいえないジンとケイの表情でした。
 記憶は無くしたものの、自分のやっている事が人々のためになると信じているジン。信念持って人間を救いたい、情の厚いところのあるケイ。
 そんな二人の前で、守るべき人類の、堕落した、もしくは当たり前の姿を見せ付けられた事が、何より辛かったでしょう。
 結局、侵略兵器製作の依頼主も人間だと分かり、その思いもひとしお……。




 明るい空の下で思う存分遊ぶ子供の姿が初めにあったからこそ、中盤・後半の闇と辛く当たり前の現実が陰鬱に圧し掛かってきます。