野奇夜『DARKER THAN BLACK -黒の契約者- VOL.1』

DARKER THAN BLACK 第1巻―黒の契約者 (あすかコミックスDX)

DARKER THAN BLACK 第1巻―黒の契約者 (あすかコミックスDX)

 月刊『Asuka』で連載されている『ダーカー』コミカライズ第一巻。
 岡村天斎監督自身がコメントで、

「黒…女子高生には優しくしてほしい!」(俺の希望)

とツッコミを入れたように、コミック版のヘイガールは女子高生! ヒャッホゥ!
 でも銀がいないよ! ヒャッホゥッ。
 でも幼女はいるよ! ヒャッホゥ!!




 ……頭の悪い感想は、このくらいにして(ぇ)。




 ストーリーはアニメとは別物です。あるいは、銀がチームに入る前なのかもしれませんが。
 父を何者かに殺害された女子高生、師能奏。彼女は死んだはずの父親が街を歩いているのを見つけ、父親の行方を調べはじめる。その最中、彼女は契約者同士の戦闘を目撃してしまう。




 黒がアンバーを追っているのではなく、謎の組織「ウィーゲンリート」と、そのメンバーの一人、ムジークという男を追って、活動をしています。
 その過程で接触した奏の父親は契約者として、ウィーゲンリートのエージェントになっており、第一巻では、黒と彼女の父親との戦いとその結末がメインになっています。




 契約者はもはや人間ではない。人間的精神、道徳性を失った彼らは、例え妻であっても冷徹に交渉のカードに使い、邪魔をするなら殺してみせる。
 奏の目の前の二人の契約者。
 家族としての温かい記憶を持ちながら、すでに人外とも言える精神構造を持つ父。
 同じ契約者でありながら奏の身を案じ、また「父親が人殺し」であるという言わなくてもいい情報をあえて伏せていたと言う黒。
 二人のギャップに混乱しながらも、父を「止める」べく父の前に立つ。
 最後まで自分でやる、と決意したものの、結局、父親の命を絶ったのは黒。最後まで、奏は黒に押しつける事しかできなかった……。
 そう涙する奏を、黒は「お前は悪くない」と抱きしめる。




 『ダーカー』らしい救いの無く、しかしどこか温かさの余韻を感じさせるラストになっています。そして、次巻に向けての伏線として、あのノーベンバー11が来日……!
 ウィーゲンリートのリーダー、クラングと、そのドール叶音の謎と、基本的にはアニメと同様に前後編で構成されているようです。




 ヘイガールが女子高生(読者層を意識?)。銀、アンバーが登場しない(黒に近い女性を避けた?)。黒と奏とが過度の接触と、アニメと比較すると独自色の強さを感じさせますが、根底に流れるやるせなさ。人と契約者の差異と、そのせいで生まれる悲劇などはしっかりと描かれています。




 また、黒と奏の間に立つキャラクターとしての役割が強いせいで、猫がすっかりギャグキャラにwwww
 女子高生に翻弄されガードマンに。挙句、引っつかまれて黒の携帯電話の番号を教えるはめになったりと、漫画でも十分退屈しない人生を歩んでいるようです。
男の子だから家まで送っていって」なんて言われて戸惑う猫が、無性に可愛らしいのです。