『五毒拳』

五毒拳 [DVD]

五毒拳 [DVD]

 ないだろうなーと思いつつも近所のレンタルショップを探してみたらありましたよ『五毒拳』!
 探してみるもんです。
 



 そんなわけで、『獣拳戦隊ゲキレンジャー』からアクション映画に触れてみよう、といういつまで続くんだかそもそも続くのか分からない企画、はじまりはじまり。
 第一弾は『五毒拳』!



 中国四千年の歴史の中にあって、悪名高き流派「五毒門」。
 その使い手達は暴虐の限りを尽くし、民から金品を強奪していった。今でもその宝は、どこかに眠っていると言う。
 そんな「五毒門」の歴史に終止符を打つ為、師匠は世に放たれた五人の弟子を討たせるべくヤンと言う青年を鍛えるが、師匠は病に倒れ余命いくばくも無い。
 師匠は五人の弟子の内一人のみを残し、その一人と協力して残る四人を抹殺せよと弟子に命じるのだった。

 と言うのが、簡単なストーリー。
ゲキレンジャー』での五毒拳のモチーフとなった通りそれぞれが、
ムカデ拳
ヘビ拳
サソリ拳
ヤモリ拳
ガマ拳
と言った拳法を習得しています。
 それにしても、ネーミングが臨獣拳以上にそのまんま(笑)!




 序盤は、青年ヤンが五人の使い手達のうちだれを抹殺すべきか、誰と協力すべきか探るところがメイン。
 しかし、五毒門の使い手達は普段は己が習得した拳法のモチーフとなった動物を額につけた仮面を身につけているため顔も分からず、世に出る時は名前も変えてしまうため誰が使い手なのか分からない!
 そのため、拳法もののテイストに加え、誰が敵で誰が味方なのか。誰がどの拳法の使い手なのか……。と言うサスペンス的な魅力も兼ね備えてる、と思いきや……。



 全然そんな事はありません




 誰がどの拳法の使い手かすぐに分かるし、最後の最後まで素顔を明かさないラスボス的な位置だったサソリ拳の使い手でさえも、あっさり分かるようになっています。




 そのストーリーは陰惨そのもの。
「五毒門」が残した宝を巡って、五人の拳士達の陰謀劇に息が詰まりそうになります。
 五人は大きく二つのグループに分かれていて、一つはヘビ・ムカデ・サソリ拳組。
 もう一つはヤモリ・ガマ組です。
 その二つのグループが、宝の地図を持つ男の住む町に入り込み、それぞれの生活を営みながら男を捜していました。
 しかし男を見つけたヘビ拳とムカデ拳の二人が地図を持つ男とその家人十一人を皆殺しにしてしまったところから陰謀劇は始まります。
 



 ムカデ拳の男は逃走姿を青年に見られていた事から捕まり、法廷に連れて行かれます。
 しかし法廷の役人が、何とヘビ拳の男! 彼は町の役人になっており、仲間の罪を敵対するガマ拳の男になすりつけようとします。
 そしてここからある意味で最高の陰惨劇のスタート!




 金と暴力で青年の証言を変えさせ、無理矢理犯人に仕立て上げる。
 さらに同じく役人になっていたガマ拳の仲間であるヤモリ拳の男を適当な口実で法廷から遠ざけ、ガマ拳の男には睡眠薬を飲ませ、
急所をサソリ拳がだましうちしたところに服の裏側にびっしりと針がついた服を着せる、
背中に焼けた鉄板を押し付ける、
あまつさえ牢内で自殺に見せかける

などやりたい放題!




 あまつさえ、証人の青年も、工作に加わった役人も口から咽喉を裂いて殺す
 鼻から脳を針で突き刺して殺すなど、まさに酸鼻を極めたやり方で口封じをしてしまいます。




 まさに悪逆非道。
 拳法ものの「悪党をやっつけてスカッとする爽快感」なんて微塵も感じる事はできません。
 カンフー映画のバイレンスな部分をこれでもかと強調しています。結局ラストも、全員殺害して「宝を寄付しよう」で終わっちゃうし。
 とにかく、『ゲキレンジャー』を観た子ども達に、口が裂けてもおすすめできない内容でした(ヲイ)。
 ある意味臨獣殿よりも酷いんじゃないの?
 下手に金が絡んでるだけに、人間の欲望が思いっきり前面に出ている、と言うか……。




 アクション的には、それぞれがそれぞれのモチーフとなった動物の動きをよく取り入れています。
 このアクション的な部分は、やはり結構『ゲキレン』の五毒拳にも引き継がれています。
 ヘビ拳、サソリ拳、ムカデ拳辺りは、手と足の動きがただ早いだけ、と言ってしまえばそうなのですが、その鋭さで見事にカバーしています。
 しかし、ヤモリ拳、ガマ拳辺りは……(苦笑)。
 ヤモリ拳は一瞬壁の上で立つだけだし、ガマに至ってはその体の丈夫さと体の強さが見事に結びつかない(笑)。むしろただの気功の使い手でよかった気もするなぁ。




 と、色々言ってしまいましたが、
モチーフとなった動物のレリーフをつけた仮面の拳士」。
同門の拳士同士の陰謀、争い
など、『ゲキレンジャー』につながるイメージが色々な所に散見できました(後者は他のカンフー映画にも共通する部分ですが)。




 さて、次は何を観ようかなぁ。