『DARKER THAN BLACK -黒の契約者-』第十六話「裏切りの記憶は、琥珀色の微笑み…(後編)」

 黒はアンバーからのメッセージを受け取り、黄の制止を振り切って目的の場所へと向かう。一方、アンバーらE.P.M(イブニング・プリム・ローズ)に捕獲されたノーベンバー11は、仲間になるよう誘われ……。




 今回はシリーズ折り返しのスタートたる重要エピソードだけあって、話がぐわんと大きく動いた一話だった。大きく分けると、アンバー、彼女率いる(?)E.P.Mの登場と、そして仲間の三つだったと思います。




 黒の「本気の笑顔」で本気惚れしていたアンバー。普段の演技の笑顔でも赤子の手を捻るように、しかも年齢問わず女の子を篭絡する黒の笑顔ですが、それが本気となると……。
 もう、何が起こるか分からない……。
 南米以降、行方不明となっていたアンバー。彼女の能力を「未来予測」。契約対価は「年齢」と予想していましたが、真実はもっと凄かった。
 何と彼女の能力は「時間操作」! まさかの「『ジョジョ』シリーズ、ラスボスの法則」適用で、もうくらくら。アンバーはDIOレベルの女……!?
 対価に「払える限界がある」と言うところから、「年齢」と言うのはあながち間違っていないとも思うのですが……。
 ところで彼女のコードネームがアンバーなのは、この能力発動時の色が理由なのかな?
 琥珀には太古の生物がそのままの姿で閉じ込められている事がある=時間を超える色、と言う連想もできて神秘的。


 


 黒に本気で惚れてるアンバーですが、黒は本気の拒絶。裏切り者であり、なおかつ南米の真実を知るだろう黒の知りうる唯一の人物。しかし黒自身も愛憎入り混じる複雑な相手であるだけに、今後の展開には悲劇の予感。
 妹、白の行方をアンバーに質すと、返ってきた答えは「とっても近くてとっても遠い場所」。
 前回のアンバーの銀に対する「初めまして、久しぶり」と言う言葉から、実は銀こそが以前の篠田千秋のように白の心をプログラムされた人間なのか。それとも、時間移動によって会った事がある、と言う事なのか。
 とりあえず、南米の天国門消失の際に使用した流星の欠片による能力の暴走によってタイムスリップしてしまった……と言うのが、正解でしょうか。




 今回初登場のE.P.M。契約者を新人類と謳うだけあって、通常感情が希薄化しているはずの契約者にあるまじき嫉妬の感情を爆発させるマキなど、契約者にして感情を持つ、通常の契約者のカテゴリから外れた者を有する組織。
 東京を南米と同じように消滅させ、契約者が新人類として解放する事を目的とするようですが。
 この言葉を信じるとすると、ゲートを消滅させるごとに、契約者はどんどん進化していく……?
 現に銀を嚆矢に、ジュライなど、感情が完全に消失したドールまでも感情を有するものが現れている。
 もちろん、黒はもとより彼に対して恋愛感情を持つアンバーなどもそうなのだろうが。




 今回のメインテーマとも言える仲間。
 黒達のチームはもとより、MI6側チームには燃えた。
 ジュライの「仲間」と言う言葉から始まって、ノーベンバー11のやつれた、鬼気迫る顔でのマキとの戦い。ジュライのサポートに答えるノーベンバー11Bの笑顔。勝利した後での一服に、包帯だらけのエイプリルがやってくる。
 それぞれの対価を払っているだけのはずなのに、互いの無事を祝っているような、苦笑するしかないようなあの感覚に萌える。
 また黄の方も、前回シリーズの銀の一件のせいか、黒に対する態度がちょっと違って柔らかい。そんな黄に対して、黒も手加減して殺さないで済ませた。
 結束が固まった結果になったMI6チームだったが、命令無視のせいで結束に不安が現れる黒達だった。
 今後、MI6との再戦と、組織からの制裁など、今後の楽しみが増えた展開だった。



 
 ところで、今回も煙草に対する悪影響をつらつらと雨霧が語ってくれた。ほんとに、煙草が嫌いなアニメである。いいぞ、もっとやれっ!
 そして、少年も少女も篭絡する黒の笑顔に、改めて脅威を感じた今回でした。
『ダーカー』の泥臭さと新しさが映像のいい具合に出てて、非常にレベルが高かった。いつもはクールな男達が、ぼろぼろになるところには、それにしても、いい。(ヲイ)。