久世みずき『電脳コイルTHE COMICS』(2007年『ちゃお』8月号別冊ふろく)

電脳コイル』目当てとは言え、ついに『ちゃお』にまで手を伸ばしてしまった……!
 格好いい自分を目指していた在りし日の自分へ。
 ハタチもこえて『ちゃお』を購入している自分を見てどう思うかな?
 


「まぁ、遅かれ早かれ」
 


 とでも悟りきった顔で言われるのがオチでしょうが。てめぇ、そういう態度が未来の自分を形作っていくんだぞ!? と、本気で昔の自分に怒ってみる罠。
 多分、幼児の頃、五百円のジライヤのサインを親にねだったあたりからこういう自分になる事は既定事項だったんだろうなァ。
 そんなわけで、以下感想。
 結論から言えば、これは 凄い 少女漫画。
 表紙からして別世界。どのキャラクターもみんなキラキラ光を背負っている感じです。
 特にヤサコ、ダイチはほぼ別キャラクターのようになっています。
 ヤサコは美少女度が上がり、ダイチはアニメでの「小六男子の汚さ」が無くなってます。



 あとは、どうも拡張現実が過大解釈されているような感も。
 メガネを通じて見える現実はあくまでフィクションであるにも関わらず、「リンクス」と言う漫画オリジナルの設定で、自分の体ごと別の場所に転送できる、と言うのはもはや何のSFかと。
 


 しかしそういう設定の解釈ミスっぽい部分を除くと、『電脳コイル』と言う作品を見事に少女マンガ的手法に落とし込んでいて、いい作品です。
 イリーガル=ミチコの力を使って離婚した両親を仲直りさせようとするイサコと、転校前の小学校でいじめられていた事で、他人とつながりたいと強く思うようになったヤサコ。
 しかし、イリーガルに頼るのは間違っていて、本当に現実をどうにかしたいと思うなら自分の言葉で語らなくちゃいけない。
 そうヤサコがイサコに言い、イサコがイリーガルを諦めた時、本当の意味で二人は友達になりました。
「少女二人の友情構築」と言うテーマに重点を絞った作品になっています。



 本編よりも早く、イサコのデレ顔を拝みたい人にはオススメ!